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20年で患者の意識はここまで変わった

2010/05/21

 COMLという団体をご存じの方は多いと思います。COMLの正式名称は、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(Consumer Organization for Medicine & Law)で、「賢い患者になりましょう、私たち一人ひとりが『いのちの主人公『からだの責任者』」を合言葉に、約20年前から大阪を本拠地として活動を続けています。

 私は学会のシンポジウムなどでCOML代表の辻本好子氏の講演を何度かお聞きしたことがあり、その後同団体の会員となっています。

 今回、COMLのニューズレター4月号で、私にとって大変興味深い一文を発見しました。辻本氏ならびにCOMLのご許可を得て、以下に引用させていただきます。

COML2010年4月15日号(No.236)「辻本好子のうちでのこづちII」より引用

「20年の“変化”に改めて思いを馳せ」

【20年の患者の変化】
 飽きもせず「賢い患者になりましょう」と唱え続けてきた20年。途中思わぬ患者の意識の変化にも遭遇してきました。(中略)

 COMLの電話相談では2003-2004年頃がまさにピーク。マスコミの過激な医療バッシングに煽られ、漠然とした医療不信に踊らされた相談が相次ぎました。(中略)

【地域医療を支えるのは患者の変化!】
 ところが最近、思春期反抗期のような相談よりもさらに深刻な事態と対峙する機会が急増。20年の節目を迎えたCOMLが、次なる30年を目指して歩むための大きな課題が与えられていることを痛感しています。電話相談にもほとんど声の届かない地域の、いわゆる医療崩壊問題。そうした地域の住民の方々に「賢い患者になりましょう!」の声を届ける役割です。

 医師不足や病院閉鎖に追い込まれるといった問題は、日本列島の北から徐々に南下し、より深刻さを増しています。3月中旬の講演は北海道から東北のこれまで伺ったことのない地域を巡る旅となりました。どこもよりも医師不足問題に晒された北海道の後志(しりべし)地区と釧路、そして青森の五所川原市。さらには昨春、27の県立病院のうちの4つを縮小、県知事が議会で土下座する映像が衝撃的だった岩手県。4月に地域唯一の有床診療所が入院ベッドを閉鎖して住民の不安と不満が高まった紫波郡紫波町です。

 いまや医療はセイフティネット(社会の安全網)からインフラ(産業基盤の社会資本)の時代だけに、地方の医療格差を看過していいはずはありません。しかし、報道からも届いてこない、想像をはるかに超える厳しい現実が北の地域の人々を不安に駆り立てています。そうした現実に直面し、ただ呆然と言葉を失うばかりです。(後略)

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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