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医師増員の署名活動を開始しました!

2008/07/31

 「医師養成数増へ方針転換 97年閣議決定見直しへ」――今年6月16日、私たちが待ちに待ったニュースが速報されたのは記憶に新しいことと思います。そして6月27日に閣議決定された「骨太方針2008」に、「早急に過去最大程度まで増員するとともに、さらに今後の必要な医師養成について検討する」ことが盛り込まれました。

 これらの動きは、日本の医療が崩壊した元凶に、長年にわたる低医療費政策と、それを達成するために強行されてきた医師数抑制策であることが、メディアや国民はもちろん、多くの政治家の方々に認識されるようになったからこそ、可能になったと思います。

 しかし、5年間で社会保障関係費を1兆1千億円削減する方針は堅持しており、いまだ公的医療費、社会保障費の増額につながる政策転換までには至っていません。さらに、ある超党派議連の方から、医師増員数は「過去最大」程度にとどめようとする動きが既に出ており、せっかくの医師増員方針も実効性を伴う数までには増えない可能性が高くなってきました。私は以前より現場から何らかの意思表示をすべきと考えていましたが、今こそ医療現場から声を挙げるときが来たと思っています。

 そのようなとき、「加速せよ!医師増員、止めよう!医療崩壊」をキャッチフレーズにした「医療崩壊阻止! 医師・医学生署名をすすめる会」が結成され、署名活動が始まりました。同会のホームページはこちらです。

 同会の代表呼び掛け人は、日本福祉大学教授の近藤克則氏、佐久総合病院院長の夏川周介氏、全国自治体病院協議会会長・全国公立病院連盟会長の邉見公雄氏、そして学生代表として全日本医学生自治会連合25期中央執行委員長で群馬大医学部4年生の宇敷萌氏、私です。

 少し長くなりますが、以下に呼びかけ人のメッセージをご紹介します。私たちがどのような思いで署名活動を開始するに至ったか、きっとご理解いただけると思います。

「今こそ医師が立ち上がろう! あなたの力を貸して下さい!」
済生会栗橋病院副院長 医療制度研究会副理事長 本田宏

 臨床医として約30年、医療が年ごとに崩壊していく実態を目の当たりにしてきました。

 世界の経済大国日本の医療がなぜ崩壊を開始したのでしょう。日本の医療体制をグローバルスタンダードに照らしてみてびっくり、日本では極端な低医療費政策と、それを達成するために医師養成数抑制までもが断行され、その結果、日本の医療提供体制は先進国中最低レベルに悪化していました。

 今まで日本の医師のほとんどは、「真面目に医療さえやっていれば、まさかお上が悪いようにはしない」と勝手に信じ込んできたのではないでしょうか。しかし現実は異なりました。

 歴史を振り返れば、明治維新以降、日本が初めに目指したのは「富国強兵・殖産興業」であり、敗戦後、その目標は「富国強経(経済)・殖産興業」に変更。日本は常に経済最優先だったのです。そして残念ながら日本では「医療費亡国論」に象徴されるように、経済が最優先で、医療・福祉・教育は切り捨てられてきたのです。

 経済の語源は「経国済民」「経世済民」で、本来の目的は民を幸せにすることだったはずですが、市場原理最優先の世界に翻弄され、日本は今やフリーター、ニートによる格差拡大社会、そして世界一の自殺大国となってしまいました。既に世界一の高齢化社会であり、目前には団塊の世代の高齢化が迫っています。

 医療現場の真実を発信し、日本の価値観を「富国強経」から「豊国幸民(豊国幸民の豊には心の豊かさも含まれます)」に転換するために立ち上がりましょう。ピンチはチャンス、医師増員の署名活動にあなたの力を貸してください。それは医療だけでなく日本崩壊を食止める第一歩なのです。 

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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