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メタボ健診は非合理的な日本人の産物

2008/04/04

 3月22日土曜日の朝、大阪の読売テレビ(関東では日本テレビ)の番組『ウエークアップ!ぷらす』に、「解禁か?禁止か?混合診療の是非を問う!!」と「メタボ健診スタート」のコーナーゲストという立場で出演させていただきました。

 混合診療の是非に関する討論相手は、この番組のレギュラーゲストのお一人である東洋大学経済学部教授で内閣府の構造改革特別区推進本部評価委員会委員の白石真澄さんでした。白石先生は、混合診療導入に賛成の立場。私はもちろん反対の立場で、「先進国最低の低医療費政策にもかかわらず、国民窓口負担は世界一の日本ですから、今以上の患者負担増は反対です。効果と安全性が認められた治療は、早急に保険で認めるべき」と主張しました。

 今回の番組では、はじめに賛成派として免疫療法を希望する患者さんが取り上げられました。続いて、反対派として医師会や厚労省、国内で販売されていない薬を自費で国外から輸入せざるを得ない患者さんを紹介していました。コーナーを締めくくるレギュラーゲストとして、厚労省出身で元宮城県知事の浅野史郎さんが、「効果と安全性が認められる新薬などは早急に保険で認めるべき」とコメントをされたのを大変うれしく感じました。

 続いて、メタボ健診の話題になりました。まず私は「メタボを予防する効果を明確に示したエビデンスはないはずです。莫大な予算をつぎ込んだメタボ健診よりも、タバコ1箱を1000円に値上げする方が、よほど国民の病気を減らす効果がある、というのが医療現場の実感です」と意見を述べました。この私の意見に、スタジオ内の多くのスタッフが大きくうなずいていました。

 さて、かなり昔のことなので、残念ながら出典は不明なのですが、以下のような興味深い話を聞いたことがあります。

 以前、米国で「発癌性あり」とされた人工甘味料のサッカリンが、日本で使用禁止となりました。しかし、当の米国では使用禁止としなかったそうです。なぜなら、寿命短縮リスクを計算すると、コーヒー1杯に入れるサッカリンは3秒、砂糖は3分であり、サッカリン使用禁止によって起こる砂糖消費増大が肥満や心筋梗塞増加をもたらすことが懸念されたからだそうです。ちなみにタバコ1本の寿命短縮リスクは12分。

 日本がサッカリン使用禁止とした背景には、米国と異なり肥満や心筋梗塞がそれほど問題になっていないこともあったと思います。それに、日本人は「発癌性がある」「身体に毒」な物は大嫌いですから、仕方ないのかもしれません。しかし、こういった反応は、サッカリンにとどまりません。BSEやダイオキシン、そして最近では中国産冷凍ギョウザが原因と疑われる健康被害など、メディアが大々的に取り上げたことでも明らかです。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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