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面接重視の米国、面接での質問は?

2007/05/23

 前回、偏差値優先(=ペーパーテスト優先)の選抜で、臨床医に求められる資質を計ることは可能か否かについて触れました。今回は、米国アイオワ大学医学部名誉教授の木村健先生が講演の中で話された米国の例を紹介したいと思います。

 以前、木村先生の講演をこのブログでも紹介しました(2006.11.17「医療制度の日米比較で見えること」)。木村先生は、その腕を買われて、なんと48歳のときに渡米、その後、アイオワ大学の小児外科の主任教授として活躍された方です。

「21世紀日本の医療が目指すもの」 アイオワ大学医学部名誉教授 木村健先生  (以下の講演内容は私がまとめたものです)

米国の大学に日本式の入学試験はない!
 米国の大学入学は、申込書、成績、推薦状、将来展望作文、標準学力テスト(SAT)のスコアで決定され、いわゆる日本式の入試はない。米国には、大学が2000校あるので、まずどこかには入れる。入学金はなく、授業料だけを納める。

 大学は4年だが、授業は厳しく、かなりの数の学生が脱落し、4年後には半分位しか残っていないのが普通だ。スポーツで入学した体育部の学生は、8分の1程度しか卒業できない。可能性があれば、プロの道に進んでしまうことも、その理由だ。ゴルフのタイガーウッズも、最近スタンフォード大学を退学した。彼はプロテストも受けていないが、実力でプロと認められている。米国では、資格が求められることも事実だが、日本と異なり、その分野で認められれば、特例として活動が認められる。

(参考:木村先生の御活躍も、この米国のシステムで可能となったようです。米国では、米国の医師免許がなくても特例として免許が交付され、渡米してすぐに手術ができたのです。これはアイオワ大学100年の歴史で9人目の特例であったそうです。)

医学部は大学を卒業してから。面接する試験官は資格が必要
 大学4年をクリアした後、次のステップ(医学部)に進む。教養から医学部へは、学部長の推薦状と成績だけで入ることができる。試験はMCATという民間の会社が行う試験があり、作文、読解、生物、化学、物理で、文系2、理系2単位が必要である。採用する方は、このスコアを選抜に利用する。国語が重要視されるのは、医者になるには表現力と理解力が必要と考えられているからだ。

 アイオワ大学には、毎年2500人の応募者があり、スコアによる選抜試験で600人に絞り、その中から面接で150人が選ばれる。この面接には70人の面接官が当たっているが、面接官も面接試験のコースを終了し試験を通らなければならない。面接には面接官2人が1組になり、受験者1人につき30分をかける。

 質問の項目は、(1)なぜ医師を志したのか、(2)人を助けた経験はあるか、(3)グループリーダーになった経験はあるか、(4)人に助けてもらったことはあるか、などである。(4)は意外と思われるかもしれないが、人の恩を感じないようでは、とても医者にはなれないということである。

 反対に聞いてはいけないこともある。それは親の職業、家族構成、彼女のこと、結婚しているかどうか、経済的なこと――。これらが入学の可否に反映されたとなれば、大学は訴訟に負けてしまう。これが面接官に研修と試験が必要な理由である。経済問題は重要だと日本では思うが、医学部の学生であれば、銀行が教養4年と専門5年の計9年間の資金を貸し出すことが普通で、経済的な理由で研修が影響を受けることはない。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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