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私たちで守る地域医療――千葉県山武市にて

2007/04/12

「なぜ地域医療が崩壊を始めたのか?山武地域医療について住民が検討すべき事」を主題に講演しました。

 4月7日、千葉県山武市「のぎくプラザ」大ホールで、「私たちで守る地域医療」という講演会が開催されました。土曜の午後にもかかわらず、多数の聴衆が集まりました。

 山武市は人口約6万人、千葉県東方に位置しています。昨年5月に内科医が不在となり、医療崩壊の例として全国で紹介された国保成東病院で有名な自治体です。地元で沸き上がっている新しい地域医療センター設立をめぐって、県や自治体、そして病院や地元住民の間の調整が困難を極めているようです。今回、この講演会の演者として私に声がかかったのは、新病院の建設をどうすべきかを探るために、日本の医療制度について話を聞きたい、という理由でした。

 同会は「私たちで守る地域医療」と銘打って開催されましたが、パンフレットの文章は、全国で問題になっている自治体病院のあり方について、一石を投じるものと思われましたので紹介します。

「私たちで守る地域医療」講演会開催のご案内

 山武地域の中核病院であった成東病院の内科が機能不全に陥ったあと、病院関係者や行政関係者等様々な方たちのご努力で、現在やっとその機能を回復しつつあります。

 私たち住民は子や孫の時代になっても、成東病院が住民の「健康」と「命」の“安心”と“安全”を担う地域の病院としてあり続けて欲しいと望んでいます。

 では、これ以上深刻な病院不足・ベッド数不足・医師不足・看護師不足などが起こった場合、私たちの「健康」と「命」は“どこ”が“だれ”が守ってくれるのでしょうか?

 巷では、「成東病院の内科の先生の数が増えてきたから、もう心配はないのでしょう」、「新しいセンターが出来れば、何も心配することはないのでしょう」という声があちらこちらから聞こえてきます。本当にそうなのでしょうか?もしそうでないとしたら??

 将来、自分が生活しているこの地域の医療が、これ以上深刻な状況に陥らないために、私たち住民自身が、自分たちでこの地域に必要な医療のあり方を真剣に考え、私たちのお財布と相談しながら、守り育ててゆかなければならない時が来ているのではないでしょうか。これから検討されなければならない課題は、まだ、たくさん残されています。

 国や県が投げ出してしまおうとしている地域医療を、この地域を知らない人が作った計画をそのまま受け入れるのではなく、住民の知恵を出し合ってみんなで考え、みんなで作っていく、“住民参加型の「山武地域医療計画」”が必要なのではないでしょうか。

平成19年4月7日


著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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