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女性医師を職場で活かすために その2

2007/04/09

「勤務する上で女性医師が希望すること」座談会の風景

 前回は「女性医師を職場で活かすために」という講演について紹介しました。今回はその後に開かれた座談会「勤務する上で女性医師が希望すること」の模様を紹介します。

 座談会には、埼玉県内で勤務している女性勤務医4人と、日本医師会の清水美津子先生が出席しました。司会は埼玉県医師会勤務医部会副部会長の細田洋一郎先生と小谷昭夫先生です。主な発言を以下にまとめたいと思います。

一般病院小児科医師(部長)
 私は学生結婚しました。学生時代に1人目、そして研修医時代に2人目を出産し、産後2週間で職場に復帰しました。今、考えると、早めに出産をしたことが自分にとってよかったと思います。当時はお金はありませんでしたが、家族の支援でどうにかベビーシッターを頼んで乗り切りました。その後、主人(医師)について留学をした時期もありました。

 正直、子育てなどで職場を離れるというブランクは、医師のキャリアアップという観点からは辛い面があると感じています。自分はたまたま実母の助けが得られ、恵まれていました。自分の後輩の女性医師を見ても、家族の協力が得られる人は勤務医として長続きする傾向がありますが、逆に夫が勤務医の場合などは協力が得られ難いため、長続きが難しいのが現実だと感じています。

某大学消化器肝臓内科医師
 よく「女子学生が増加している」と男女を分けていわれますが、私はその能力に男女差を全く感じていません。現在の医局の半数は女性医師です。ただ悲しいことに、結婚、出産後はほとんど辞めてしまいます。

 育児に専念したい人もいれば、仕事と育児を両立したいと希望する人もおり、そのような価値観の差に対応できる柔軟な勤務体制を作ることが重要だと思います。自分は出産後も仕事を続けられましたが、まさに母の全面的な協力の賜物です。ですが、外勤していた時、一度自分が受け持っていた患者さんに夜間トラブルがあったのですが、子供を預けなければならず、緊急に対応できないことがありました。その出来事を契機に、主治医として勤務医を続けることに限界を感じ、大学に戻り研究者としての道を選びました。

地域中核病院脳神経外科医師
 卒後、大学院に入学したために、研究の分だけ手術経験が少ないというジレンマありました。大学院時代に出産し、産休後に始めて出張病院で勤務しましたが、子育てをしながらの勤務環境は、本当に厳しかったです。夫も外科系医師で、子育てへの協力は難しく、救急で病院に呼ばれた時も、まずは子供を近くの親に預けなければなりませんでした。その分、病院到着が遅れて、自分の評価が落ちるという悪循環があったことは否定できません。

某市立病院産婦人科医師
 私は独身ですが、今後、結婚をするにしても、婦人科の現場を離れて技術が鈍ってしまうのではないかというような恐怖を感じています。私の同級生は15人中11人が女性医師です。現在育休中の友人に話を聞くと、手術の経験を積みたいという希望はあっても、とても当直はできない、というジレンマを感じている人が多いようです。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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