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ドイツの胃癌手術料は537万円!

2007/03/05

 2月7日のブログ「日本の医療は“ゼイタク”か?」 で、急性虫垂炎(盲腸)の値段の国別比較を紹介しました。日本では7日程度入院して30万円程度なのに対し、日本より欧米ばかりでなくアジアの主要国の方が高いことに驚かれた方いるのではないでしょうか。

 先日、たまたま私の外来に、香港で内痔核の手術を受けた患者さんが「術後の経過が心配」という主訴で訪れました。参考までに、と香港での内痔核の手術料金をお尋ねしたところ、約100万円かかったとのことでした。恐らく日本で内痔核の手術を受けると、せいぜい20万円程度でしょう。

 さて、前橋で2月に行われた講演会で、「日本の医療崩壊を防ぐためには、現在の日本の個々の治療の値段を世界の医療費と比較して、分かりやすく国民に説明することが大変重要だ。しかし、私自身は時間や調査能力の制約で、なかなか他の外国の医療費が分からず困っている」とお話ししました。

 すると早速、講演をお聞きいただいたお一人から、海外での事故例(病気やけがなど)と治療費用に関する、大変に興味深いデータの存在をご紹介いただきました。これはジェイアイ傷害火災のホームページに掲載されているデータです(詳しくはこちら)。ここには国名、事故状況、治療・救援費用保険金支払額(円)が書かれています。このデータによると、2004年度にドイツで胃の痛みを訴え検査、胃癌と診断され手術を行った場合、572万7930円だそうです(表1参照)。救援費用も含まれているので、日本での医療費とそのまま比較はできないと思いますが、済生会栗橋病院の胃癌手術の総額は4週間入院しても総額120万円程度で、その差は明らかでしょう。

 私の関係する外科系疾患のみ取り上げても、ドイツの胃潰瘍手術は約403万円、スイスは胃潰瘍で入院して約325万円、タイが胃潰瘍の手術で7日間入院で約443万円と紹介されています。欧州のみでなくアジアも日本より医療費はやはり格段に高いようです。一部、抜粋いたしますが、ぜひ皆さんが直接関係する疾患の医療費と比較してみてください。

 日本の医療崩壊を食い止めるためには、日本と世界との格差をきちんと検証することも必要最低条件だと、このデータをみて痛感しました。これ以外にも世界の医療費について実例をご存知の方がおられましたら、ぜひご教示いただければ幸いです。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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