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医師の需給はこの6年間でがらっと変わった

2006/12/18

 いつも私のブログに関して、幅広い立場からのご意見を頂き、ありがとうございます。私は、地域の中核病院で18年間外科医として働いてきた立場から、目の前の患者さんのために、より安全で質の高い(せめて日本の国力並み)医療を提供したいと、種々のデータに基づいてブログを書いているつもりですが、やはり世の中には様々なお立場からの考えがあるのだと大変参考になっています。

 さて、医師不足に関連したブログへの反響で、度々ご指摘(お叱り?)を受けている、「医師不足感は、個人的な考えではないか」という意見にお答えするため、2005年3月31日付で報告された「平成16年度厚生労働科学特別研究『医師需給と医学教育に関する研究』報告書」の前文、「はじめに」の要旨をご紹介したいと思います。

 平成16年度厚生労働科学特別研究「医師需給と医学教育に関する研究」報告書
  主任研究者 国立保健医療科学院 政策科学部 長谷川敏彦 平成17年3月31日

 はじめに
 医師需給に関する報告書をここに上梓したい。
(中略)
 思い起こせば7年前、厚生省から医師需給の井形委員会に支援の研究を依頼され、研究を開始したものの、あまり委員会の報告書の結論には貢献できず、申し訳なく思って来た。そこで今回は、前回の分析の蓄積を用いて、何とかお役に立てればと思ってこの研究を開始した。しかしそれは安易な考えであった。医師需給をめぐる国内外の状況はこの6年間にがらっと変わってしまったからである。

 国際的にはこれまで「医療の効率性、特に医療費の削減を目指す観点から医師数を規制する」政策が主流であったものが、「安全や質の確保から必要な医師を増やすべき」という政策基調に大転換していることが判明したからであった。また国内的にも「国民の安全や質への要望は高く」、「医師の地域偏在の問題から東北・北海道地域での医師不足」が大きく取り上げられ、「診療科としても小児を筆頭に、麻酔科等不足が目立つ診療科」が取り上げられて世論を騒がせている。

 これまで医師需給の分析が、国内国外を通して「大雑把に人口当たり医師数と需要の分析」で事足りていたが、「医療の安全や質を考慮した上で地域や診療科の偏在をも分析」する必要がある状況になっている。したがって最近国際的にも提案されているモデルも、これまでとは発想の異なるものもあり、少なくとも用いる変数の種類は以前のものとは比較にならないほど複雑になっている。
(後略)


著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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