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EHRは医療外し? 国民の利益?

2007/02/23

ローマ市内の観光名所でよく見かける、赤い車輪の観光馬車。向こうに見えるのはサン・ピエトロ大聖堂で、バチカン市国の南東端にあるカトリック教会の総本山である。

 2007年2月17~18日、東京の日本医師会館(東京)で日本医師会医療情報システム協議会(日医協)が開催された。この中で、先進諸国で話題になっている EHR(Electronic Health Recording)についての話があった。EHRに対し、電子カルテは EMR(Electronic Medical Recording)といい、EHR の中の「医療」という狭い分野を示す。 EHR の対象になる分野は、健康に関するすべてであり、日本では「保健・医療・福祉・介護」となる。これが国家プロジェクトとして動き始めようとしている。

 今回、土田康彦氏(アクセンチュア)の講演を聴いたので、これを紹介したい。詳しくは、欧米におけるEHR実現アプローチ紹介と、スーパードルフィンを活用した健康情報基盤と、 EHRの衝撃を参照されたい。

 EHR 導入では、最初から複雑な問題を抱えている情報を載せて運用するのではなく、システム導入においてクレームがつきにくい、必要不可欠な情報を載せようとしている。しかし、国家プロジェクトなので、国民総背番号制度の問題を抱えている。

共有される情報の例

1)基本情報(Demographic Record)
  ・登録番号(国民総背番号?)
  ・名前
  ・住所
  ・生年月日
  ・その他(主治医名、希望言語、障害者コード、等)

2)診療情報(Clinical Record)
  ・主要診断、プロブレム
  ・アレルギー、薬副作用
  ・直近/現在の処方内容
  ・直近の検査結果
  ・その他

 EHR の目的は「医療の質(医療過誤を減らすこと)を担保しながら、(無駄な)医療費を抑制すること」のようである。つまり、医療面の重要な情報を共有することにより医療事故を減らし、診療・検査・投薬の重複を削減することにより医療費を削減しようというのである。

◆効用(願い)
1. リアルタイムでの患者情報へのアクセスと重複/不要な検査の削減
2. 複数の医療提供者間における情報シェアや相互連携
3. 疾病ハイリスク予備軍に対する、特に慢性期疾患へのケアの強力な支援
4. 医療過失の削減とケアパス(手順)を明示する仕組み
5. 患者の教育、セルフケアに向けた意識変革といった意味での患者中心をサポート
6. 医療提供資源の効率活用への貢献

著者プロフィール

飛岡宏(飛岡内科医院副院長)●ひおか ひろし氏。1980年川崎医大卒後、岡山大第2内科入局。岡山労災病院、新居浜十全病院、岡山市立市民病院を経て、90年9月より飛岡内科を継承開業、副院長として現在に至る。

連載の紹介

飛岡宏の「開業医身辺雑記」
「コンピューターと医療の世界を結び付ける」ことをライフワークとする飛岡氏。日々の診療を通じて感じる開業医の喜びや悩み、実感する現代医療の問題点などを、肩の凝らないエッセイ風につづります。

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