
こちらはみかん。向こう側から光を当ててみたのだが、デジカメだと透過する光をうまくとらえることができる。

季節には少し早いが、柿を二つに切ってみた。じっと見ていると、いろいろなものに似て見える。
前回は、メタボリックシンドロームの診断基準のあり方に、臨床医としての素朴な疑問を述べた。それに関して、東海大学教授の大櫛陽一先生から、以下のようなメッセージをいただいたので、ご紹介する。
日本人のメタボリックシンドローム基準では、胴回りの基準が男性85cm、女性90cmとされている(1)。しかし、男性が女性より低い基準となっていることは、男性の体型が女性より大きいという医学常識から見ても不思議な基準となっており、国際的に日本を名指しした批判が行われている(2)。この基準を発表した日本肥満学会の論文(3)には多くの「ねつ造」が見られる。
1)内臓脂肪面積の基準を100cm2とした図では、メタボリックシンドローム項目の異常が複数に相当する内臓脂肪面積は求められなかった。つまり統計的には、日本人ではどの内臓脂肪面積でもメタボリックシンドロームを起こさないのである。しかし、異常項目数が1に相当する内臓脂肪面積である100cm2を基準としている。これは、メタボリックシンドロームの定義と反する「ねつ造」である。
2)内臓脂肪面積は男女を混ぜて求めているのに、そこから求められた内臓脂肪面積を使ってウエストを求めるときは、男女別に分析がされている。この段階で男性のウエストは女性の影響で少なめになり、女性のウエストは男性の影響で大きめになる。これは、データ数が少なすぎて男女別にすると内臓脂肪面積が求められなかったか、男性のウエストを少なめにするための「ねつ造」かである。
3)異常項目数2を基準とする感度特異度分析により、内臓脂肪面積の基準として100cm2が適切としているが、論文に記載された感度と特異度を見ると、90cm2と110cm2が同じで最も感度+特異度が大きい。100cm2を最適値としたのは「ねつ造」である。
4)胴回りの測定方法として、日本だけが臍の位置で測定している。他の国では腸骨の上での測定が標準となっている(4)。男性では臍の位置と腸骨上はほぼ一致しているが、女性では腸骨が大きく、臍の位置では腸骨を含んでしまう。このことも男性と女性のウエスト基準値が反転する理由の一つである。また、女性では皮下脂肪が発達しており、臍の位置での測定では内蔵脂肪面積を全く反映しないため、測定の意義がない。
厚生労働省では、2008年度からのメタボリックシンドロームに基づく医療改革の準備として、「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」を設置して、案を提示している(5)。私の持っている全国70万人健診データと厚労省が発表している人口分布でこの案をシミュレーションした結果を示す。
1.要生活指導者(40~79歳)
男性 92%……動機付け支援レベル:50%、積極的支援レベル:42%
女性 74%……動機付け支援レベル:63%、積極的支援レベル:11%
必要とする費用推計(1人年間1万円と想定)……6000億円
2.受診勧奨者(40~79歳)
男性 78%、女性 67%
必要とする費用推計(初診料+生活習慣改善指導料)……7兆円