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岡山の診療所での臨床研修の現実

2006/07/12

これは岡山市ではなく、倉敷美観地区、大原美術館の隣にある喫茶店「エル・グレコ」。大正末期に建てられた建物を改装した、美観地区では一番古いカフェ。格子状の天井や窓が、レトロな雰囲気を醸し出している。

 竹中郁夫先生のブログで臨床研修の話が盛り上がっている。新しい医師臨床研修制度では「地域保健・医療」が必須科目とされており、保健所・診療所実習が行われている。飛岡内科では2004年より、岡山大学医学部・歯学部付属病院(大学病院)の臨床研修医(インターン)を受け入れている。診療所も無関係ではないので、インターンを受け入れる診療所サイドの感想を述べたい。

 日本医師会(日医)では2002年より、卒後臨床研修に「地域施設群研修方式」を提唱し、2003年に3県(栃木県・岡山県・大分県)でモデル事業がスタートした。

 岡山県では、岡山大学が卒後臨床研修センターを設置し、2003年4月より、岡山県医師会日医卒後臨床研修プロジェクト委員会、行政機関(岡山県保健福祉部、保健所関係)と連携して、インターンの診療所実習実施に取り組み始めた。

 他方、岡山県医師会では「良医を育てる」を目標に、診療所研修指導医を対象としたワークショップを行い、受け入れ態勢を整え、インターンとのマッチングを経て、2004年より診療所実習が開始された。(岡山県医師会報2003年10月25日・第1128号より)

 現在、地域保健・医療実習には4週間が割り当てられ、3診療所+保健所(各1週間)で実習が行われている。

 大学病院でインターンはスーパーローテートで1年半の研修を受けていた。しかし、実際は指導医が非常な努力をしながらも、日常の仕事量が多いため、片手間に指導することを余儀なくされていた。このため、研修指導医の面倒見の良い科の人気はあるが、悪い所は人気がないようである。また、実習中にどんな体験ができたかも、人気を左右するようである。もちろん、インターンからみて研修病院の立地条件は、首都圏の方が地方都市と比べて魅力的である。「一度は出てみたい、花の都、大東京」ということだろう。

 医師は経営・管理職ではなく技術職であり、インターンは「技術職の見習い」と理解している。もちろん内科では知識も重要かも知れないが、患者を診る基本技術は要求される。技術習得の基本は「盗むもの」であり、系統だった教育には限界がある。従って、インターンには医師としての素養が重要である。そして医師は代々、これを繰り返して技術を継承していると理解している。

著者プロフィール

飛岡宏(飛岡内科医院副院長)●ひおか ひろし氏。1980年川崎医大卒後、岡山大第2内科入局。岡山労災病院、新居浜十全病院、岡山市立市民病院を経て、90年9月より飛岡内科を継承開業、副院長として現在に至る。

連載の紹介

飛岡宏の「開業医身辺雑記」
「コンピューターと医療の世界を結び付ける」ことをライフワークとする飛岡氏。日々の診療を通じて感じる開業医の喜びや悩み、実感する現代医療の問題点などを、肩の凝らないエッセイ風につづります。

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