
春を間近に迎えた、晩冬の月。
「4月から女性研修医も増えるので、女医部屋が満員になります。先生たち、空いている机の片付け、よろしくお願いしますね」
先日、医局の新年会で、医局秘書さんが発した何気ない一言。たまたま同じテーブルに女性医師が集まっていたため、その後しばらく“女医部屋”談義で盛り上がりました。
「そもそも、女医部屋って別にいらないんじゃないの?」
「女性用の更衣室はあるから、私たちは特別困らないよね」
「問題は、男性医師の更衣室がないことなんじゃないの? 女性がいても医師室で堂々と着替える人の方が多いけど、中には、着替えたそうにモジモジしている男性もいるよね」
当院の医局には、医師室が複数あります。ほとんどは男女共同なのですが、数年前から、一部屋だけは女性医師専用になっているのです。その通称“女医部屋”に、私も机を置かせていただいています。
“女医部屋”誕生のきっかけは、「女性研修医の先生は、なるべく女性医師の隣に机を並べた方が、居心地がいいだろう」という、医局秘書さんの配慮だったように思います。
それが、その部屋の女性人口が増えるに伴い、1人、また1人と男性医師が減り、とうとう女性医師のみになったとき、誰彼ともなく「あそこは、女医部屋だ」とささやくようになりました。こうして、現在の女医部屋が確立したわけです。女性医師全員は女医部屋に入りきらないので、他の医師室は、1人か2人女性医師がいたり、全員が男性だったりと、様々です。
当の女性医師としては、「男女共同でも、女性のみでも、どちらでもいいんだけど…」という感覚でしたが、その後、周りの男性医師から、「女医部屋って、なんか入りにくいんだよなあ」というぼやきをよく聞くようになりました。