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新年の誓い―できる限り、薬漬けの医療から脱却を

2011/01/05
引地悠

雪遊びが大好きな娘、2歳になりました。

 新年あけましておめでとうございます。清々しい新春を迎え、皆様のますますのご健康、ご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 今年も、子育て中の女性医師の視点から、ブログを執筆させていただけることは、この上ない喜びです。何分、未熟な点が多いため、皆様からのご指導、ご助言を真摯に受けとめ、成長していきたいと存じます。

 今回は、内科の予約外来の診療を始めたばかりの頃を振り返ってみたいと思います。なんといっても、高濃度の塩文化にどっぷり漬かっている、ここ秋田では、高血圧の患者さんが圧倒的多数を占めます。

 「こんにちは、調子はいかがですか」と、声をかけるやいなや、「べつなことねえ。ただ、薬っこ、ねくてよ」と、つっけんどんな返事をもらい、それ以上会話が進まないことがよくありました。

 ずいっと差し出された腕にカフを巻き、血圧を測って、次回の予約をして、「せば(じゃあ、また)」と立ち上がる患者さんを見送り、当時の私は、何とも言いようのない無力感に襲われていました。私がしていることは、まさに、「血圧測定屋」「薬屋」状態だったからです。それでも、くよくよ悩んでいる暇はありませんでした。次から次へとやって来る患者さんの診療を回していくために、私は、黙々と血圧を測り、薬をdo処方してきました。慣れというのは、本当に恐ろしいものです。いつしか、私の外来診療は、「短時間でできるだけ多くの患者さんをこなすこと」が目的になってしまっていたのです。

 そんな、たるんだ私の目をガツンと覚まさせてくれたのは、1冊の本でした。「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(今井一彰著、マキノ出版)。この本で、今井先生は、現代の日本で問題になっている病気、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、潰瘍性大腸炎、うつ病などの発症に、口呼吸が関連していることを指摘されていました。そして、口呼吸を正しい鼻呼吸に戻すため、効果的な唇と舌の体操を紹介されていました。それが、「あいうべ体操」です。

 実際、私自身、朝、起きたときに喉がヒリヒリしたり、歯ぎしりをしたり、横向きで寝ればよだれを垂らしていたりと、まさしく「口呼吸人間」でしたから、一生懸命、「あいうべ」を毎日実践してみました。すると、1週間ほどで、びっくりするほど、舌を楽に挙上できるようになったのです。

 「これは、確かに、口呼吸の改善に有効かもしれない」と思い、早速、外来で、気管支喘息の患者さんや、風邪の患者さんで、口呼吸が疑わしい人に、あいうべ体操を薦めてみたところ、「言われなければ、口呼吸って気付かなかった」「これなら私にもできそう。早速やってみます」など、前向きな返答が多く、大変好評でした。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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