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「薬はリスク」の教えを再確認

2010/06/30
引地悠

娘をおんぶして帰る途中に出合った紫陽花。1日の疲れが癒されました。

 こちら東北も梅雨本番となり、雨に打たれた紫陽花が美しく映える時季になりました。

 日々、試行錯誤しながら外来診療を行っていますが、時折、ヒヤッとすることがあり、その都度、気を引き締めています。今日は、その中のエピソードの一つをご紹介します。

 60歳代の女性。診察室に入って来るなり、あいさつもそこそこに「先生、とにかく左半身が痛くて、しびれるんです」と息咳切って訴えます。興奮気味の患者さんの様子に少し気後れしながらも、「片側性ということは、頭を見逃してはいけないな…」と気を引き締めて、患者さんの話を聞くことにしました。

 この方の症状は、半年ほど前から左眼の奥と左鼻の奥に痛みが出たのが始まりとのこと。耳鼻咽喉科で血管運動性鼻炎および逆流性食道炎と診断され、薬を何剤か処方されていました。血液検査でスギ、ヒノキに強いアレルギーがあることが分かり、減感作療法も勧められていました。また、ストレスによる異常感症の可能性も指摘されていたそうです。

 「耳鼻科の薬を飲んで、確かに左鼻の痛みはよくなったんですよ。薬のおかげか、今年は花粉症もひどくないしね。でもその後、両手の薬指と小指がしびれるようになって、それが手全体に広がってきてね。特に左手がひどくて、一昨日は物も握れないほどだったんですよ。あと、寝ていると背中から頸まで痛くなってきて…。それもどちらかというと左が痛いんです」

 既往歴として、20代のころに交通事故に遭い、頸椎症を指摘されています。また、子宮筋腫のため、子宮全摘出術を受けていました。健康診断は、ここ20年間、受けたことがないということでした。

 「実は若いころからずっと血圧が低くて、血圧を上げる薬を飲んでいたのですが、このところ逆に血圧が高くなってきたので、それも心配で来ました」。血圧を上げる薬というのは、かかりつけ医から処方を受けているメチル硫酸アメジニウム。加えて頭痛薬、ビタミン剤を服用しているほか、耳鼻咽喉科から抗ヒスタミン薬、プロトンポンプ阻害薬、ベンゾジアゼピン系薬、塩酸ピロカルピン、麦門冬湯が処方されていました。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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