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「保活」時代の子育て

2010/04/15
引地悠

1歳3カ月の娘。リモコンでの「もしもし」がブームです。こういう新しい仕草を覚えるのは、保育園の子供たちの影響が大きいと思います。

 働く母親にとって、仕事復帰における最大の難問は、生まれたばかりのわが子をどこに預けるかです。

 この不況のご時世、特に都市部では、保育園への待機児童がさらに増えています。『AERA』3月8日号では、子供を保育園に入れるための活動を「保活」と名付け、その実態をリポートしていました。希望の保育園に入れたら「勝ち組」、入れなかったら「負け組」です。

 実際、私の知り合いでも、都会に住む人ほど「第3希望のところでも10人待ち」「認可保育園は全滅。認可が空くまでは、高額になるが認可外に預けるしかない」と悲鳴にも似た声を耳にします。

 秋田在住のわが家は、双方の実家が遠く祖父母の応援は得られません。マンション住まいで近所付き合いも乏しいので、保育園に預けるしかありません。幸い、職場の中に託児所が設置されており、女性医師支援制度も整っているため、迷いなくそちらに預けることにしました。

 私の職場の託児所は、病院のすぐ隣の建物の1階に設置されています。保育室は全体で約80平方メートルの広さで、定員は0歳児が6人、1歳から就学前児童までは18人です。異年齢の子供たちが、同じ部屋で一緒に過ごします。中には、兄弟一緒に預けている家庭もあります。24時間受け入れ可能であり、7人の保育士さんが2交代制で勤務しています。専用の園庭はありませんが、託児所の近隣に公園があり、天気のよい日には連れて行ってもらえます。

 さて、今回は「保活」の必要のなかった私ですが、AERAの記事を読んで、なぜ保育園の需要がここまで高まっているのか、昔はどうだったのか、考えさせられました。

 もちろん、経済的な理由から、専業主婦だった母親が、家計を助けるために働き始めなければならなくなった、ということが大きな要因でしょう。しかし、もう一つ、母親が外で働くことにより、絶えず背負わされる“母としての重荷”がふっと軽くなりリフレッシュできることに、母親たちが気付き始めたこともあるのではないでしょうか。

 子供は非常に敏感であり、母親が疲れを溜め込んでいたり、怒りっぽくなっていると、多大に影響を受けてしまうものです。吉田穂波先生のブログ(2010.3.16 「ボストンには働く女性を励ます言葉があふれている」)で、「精神的に安定した母親と週に1日だけ一緒にいる方が、いらいらした母親と24時間365日一緒にいるよりも、子供の精神衛生上ずっと良い」という話がありましたが、その通りだと思います。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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