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「おっぱい、足りてるの?」

2009/12/02
引地悠

お食い初めのお祝いをしました。

 子供を母乳で育てていると、何度となく聞かれる質問があります。

 「おっぱい、足りてるの?」――この何気ない一言が、母親にとってどれほど重たいものなのか、自分自身が授乳を経験しなければ、知ることはなかったと思います。

 子供のために、母親としてできることはなんでもしてあげたい。私にとって、その中で最も大事だと思っていたのが、授乳でした。しかし実際のところ、母乳だけで育てるにはかなりの苦労を要しました。

 娘は当初、母乳を飲むのがあまり上手ではなかったため、授乳に時間がかかりましたし、私が食事に手を抜けばすぐにおっぱいにトラブルが出て、つらい思いもしました。自分でもがんばってやっていると自負しているのに、健診で娘の体重の増えが悪いと、小児科の先生のみならず、私の夫や母にまで、「母乳不足だ」と心配され、ますます「母親の私が悪いんだ…」と落ち込みました。

 産後100日が経ち、お食い初めのお祝いをしたころのこと。乳房のしこりがなかなか取れず、子供の体重増加も芳しくありませんでした。そこで急きょ、母子で実家に帰省することにしました。実家のある福岡には、母乳相談で有名な助産師さんがいらしたので、そちらに通いつつ、実家で骨休めをしようと思ったからです。「里帰り授乳」です。

 母乳外来では、あっさりした和食にして、とにかく1日中頻回に授乳をするように指導を受けました。「正常分娩をした女性で、40kg以上の体重があり、尿が出るのであれば、必ず母乳は出る」のだそうです。要は、母親が頻回に子を抱き寄せ、乳を含ませることで「出すか、出さないか」が問題だ、と。出る、出ないというと、あたかも母親の体質で授乳量が決まるかのようですが、どうもそうではなさそうです。夜間はプロラクチンの量が昼間の1.5倍になるため、「夜が勝負」とハッパをかけられたこともあり、夜も2時間おきに起きて授乳をしました。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。07年9月に結婚し、09年1月に第1子を出産。

連載の紹介

引地悠の「ただ今、育児休業中!」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」。そんな女性医師の1人である引地氏が、1年間の育児休業を取得。妊娠・出産、育児を通じて、医師である自分に起こった変化を現在進行形でつづります。

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