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おっぱいは正直

2009/11/25
引地悠

授乳風景です。

 出産という大仕事を終えた母親を、待ったなしで待ち構えているのが、授乳です。私は、出産までに、おっぱいを飲ませる姿を何度もイメージしていました。温かい部屋で、静寂に包まれる中、母と子がお互いを見つめ合い、授乳をしている様子を想像するだけで、幸せな気分になり、顔がにやけました。

 ところが、現実は、全く予想外の展開だったのです。まず、「うわぁぁん」と泣き叫ぶ娘に、うまく乳頭を吸いつかせるのが一苦労。ようやく吸い付いたかと思うと、そのまま眠ってしまうこともしばしばあり、眠った娘を抱きかかえたまま、私も疲れて寝てしまう有様でした。母乳を十分量飲んでいない状態だと、娘は昼夜を問わず1時間程で目覚めて泣き出すため、24時間絶え間なく授乳しているような感覚でした。「おっぱいって大変だ…」と暗い気持ちになることもありました。

 産後1カ月を過ぎるころになって、ようやく母子ともに授乳に慣れ、少しずつペースをつかむことができるようになりました。産後の体調も改善に向かい、気もゆるんできたころです。そんなある日、異変が起きました。

 娘の顔面にポツ、ポツと湿疹が現れたのです。「乳児湿疹っていうやつかな?」と気楽に構えていたところ、今度は私のおっぱいが痛みだし、しこりを触れるようになりました。何が原因なのだろう?と思い返し、バレンタインデーで夫が職場の方からいただいて持って帰ってきたチョコレートをつまんだことを思い出しました。

 おっぱいは正直です。個人差はありますが、一般的に、油っこい食物や甘い食物を食べ過ぎると、母乳の粘稠度が増し、乳腺がつまりやすい状態になり、最悪の場合には乳腺炎を引き起こすこともあります。そして、赤ちゃんの皮膚は非常に敏感なセンサーのようで、おっぱいの質によって発疹が出たりします。

 私の場合は、乳製品を少しでも摂取すると、乳房が張り、たちまちどろりとした質の悪い母乳になったため、牛由来のもの一切をやめました。また調味料として油、砂糖、みりんを使うことをやめました。油揚げやカマボコなどの加工食品も買わないようにしました。豚肉、鶏肉、卵、脂ののった青魚や赤身の魚も食べない方が、娘の機嫌がよかったのです。農薬の影響も、自然と気になるようになり、可能な限り無農薬の穀物や野菜を求めるようになりました。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。07年9月に結婚し、09年1月に第1子を出産。

連載の紹介

引地悠の「ただ今、育児休業中!」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」。そんな女性医師の1人である引地氏が、1年間の育児休業を取得。妊娠・出産、育児を通じて、医師である自分に起こった変化を現在進行形でつづります。

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