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「生まれる力」と「産む力」

2009/11/06
引地悠

待望の愛娘の誕生です。

 2008年暮れ。産前休暇に入り、臨月を迎えた私は、「家でゆったりとした時間を過ごすのは、何年ぶりだろう」と思いながら、大掃除やおせち料理の準備に精を出しました。予定日の2週間前後はいつ生まれてもおかしくないと言われていましたが、特に何の兆候もなく、新年を迎えました。

 秋田にしては珍しく、雪のない正月でした。予定日まであと3日となったある日、やけに喉が渇き、特に顔面だけ逆上したように熱く感じ、普段は飲まないリンゴジュースを一気に飲み干してしまったほどでした。

 ふと映画が観たくなり、大きいお腹を抱えて近くの映画館まで歩いて行きました。映画『地球が静止する日』を見ていた最中のこと。下腹部が断続的に張ることに気付きました。時計でおなかが張る間隔を計ってみると10分間隔だったので、もしや陣痛!と慌てましたが、30分ほどすると張りがなくなったため、気のせいかなと思い、最後まで映画を見てきました。

 そして寝る前、「いつ生まれるのかなあ」とつぶやく私に、夫が「できれば正月休みの間がいいよね。それなら確実に出産に立ち会えるけど、普通の勤務に戻れば、立ち会えるかどうか分からないから」と言いました。それをお腹の赤ちゃんが聞いていたかは分かりませんが…。

 妊娠中は頻尿になるため、夜中に何度も目を覚ますのが常となっていましたが、その晩はなぜかぐっすりと眠っていました。それが、突如として、臀部から背中にかけて生暖かい感触があり、飛び起きました。「うわあ、おねしょしちゃったのかな!?」と慌てましたが、排尿している感覚ではないのに、布団がさらに水浸しになっていくのを見て、ようやく「これが破水か!」と気付きました。

 知識としては破水について知っているつもりでも、実際に破水であれほど溢れるように出るとは、思いもしませんでした。随意的に止めることができず、まさに垂れ流し状態。歩くのも一苦労でした。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。07年9月に結婚し、09年1月に第1子を出産。

連載の紹介

引地悠の「ただ今、育児休業中!」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」。そんな女性医師の1人である引地氏が、1年間の育児休業を取得。妊娠・出産、育児を通じて、医師である自分に起こった変化を現在進行形でつづります。

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