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「院内NATO軍」をやっつけろ!

2021/04/30
裴 英洙(ハイズ)

 医療経営コンサルティングの仕事をしていると必ず出会う院内勢力がある。それが「院内NATO軍」だ。彼らは往々にして知的で弁が立ち、理路整然とものを言う。会議、委員会、ミーティング、プロジェクト推進の場面でも存在感をかなり出してくる。あまりに強力過ぎて他の職員がたじろぐこともしばしば。そう、院内NATO軍とは、“No Action Talk Only”な人たちのことだ。

 院内NATO軍の方々は、それはそれは流ちょうな知的会話を武器としてしなやかに正論を話し、周りを「なるほど……」と口ごもらせるのを特技とする。鋭い現状批評と立派なアクションプランの構築をするのはいいが、行動にはコミットしない。ある案や挑戦に対して壮大な批判を口にするものの、代替案は一切提示しない。あまりに院内NATO軍が活躍し過ぎると、会議や委員会は萎縮して前に進まなくなる。彼ら彼女らは他院事例や政策論議を前提に、「当院でも○○であるべきだ」「○○した方がよい」「○○が必要だ」と至極もっともなことを話すパターンが多い。しかし、自分は会議室の椅子に座ったまま、一歩も動こうとしない。

 総論としては正論であっても、自院に落とし込む各論段階では急に難易度が上がる事象はよくあるものだ。それを無視して話されると、現実解を求めるべき会議は収束しなくなり、堂々巡りが始まってしまう。このように、院内NATO軍がのさばり困っている医療機関は多く、「何とかして下さいよ~」と私が頼み込まれることも一度や二度ではない。

著者プロフィール

裴 英洙(ハイズ(株)代表取締役社長)●はい えいしゅ氏。1972年生まれ。金沢大学大学院医学研究科修了。外科医・病理医として勤務後、MBAを取得し2009年に起業。医業経営コンサルタントの仕事の傍ら、再建先で臨床医として医療現場に携わる。

連載の紹介

裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
医療機関の経営問題を解決しないと、医師が意欲を持って働けない—。そんな危機感からMBAを取得し、コンサルティング会社を設立した異色キャリアの医師。これまでの経営支援の経験から、病医院で見過ごされがちな問題やエピソードを語ります。
裴英洙氏による書き下ろし!
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