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医師がビジネススクールを目指すとき

2013/12/25

 最近、立て続けに面識のない医師からメールで相談を受けた。「ビジネススクールに行きたいのだがどこが良いのだろうか」「自院継承のため、医師のキャリアを中断し、本格的に医療経営を勉強するにはどうすればよいか」といった内容だ。

 ビジネススクールとは経営学やそれに関係する科目を教える大学院を指し、修了すると修士号(MBA: Master of Business Administration)、博士号(Ph.D)が付与される。ビジネスと聞くと、単なる金儲けの話かと思う人がいるかもしれないが、人を動かす方法、顧客(患者)に満足してもらう方法、組織が存続する方法、リスクを最小化する方法など、いわゆる“マネジメント”を学ぶ場だ。

 前述の質問した医師たちの背景には、医療経営に対する問題意識や、自院経営上の悩みが感じられる。医師個人や診療科単体での「個別最適」でなく、多職種で構成されたチームや病院組織、ひいては地域における「全体最適」に至る解の必要性を感じているのだろう。そのツールとしてビジネススクールが候補に挙がったと考える。

 私の母校である慶應ビジネススクールには現在、1年次に2名、2年次に2名、合計4名の医師が在籍している。その他に、看護師や薬剤師等の医療職も在籍している。同スクールの過去30年の歴史で、医師は私が3人目であったことから考えると、この人数には驚く。医師の間でもビジネススクールの認知度が徐々に高まってきているのかもしれない。

 現在、ビジネススクールの総数は、日本国内で30校以上、米国では500校以上に上る。国内では、1987年に慶應義塾大学が経営学修士コースとして2年制の修士課程を設けたものが最古である。慶應ビジネススクールは、基本的には社会人を対象としたコースで、私が入学した年は90%が社会人入学であった。平均年齢は約30歳で、企業で6~7年の職務経験がある学生がほとんどだった。全日制のため、仕事を辞めて通学する必要があり、その間は無職となるので、学費や生活費などの経済的な負担は大きい。ただし現在は、全日制以外に土日あるいは平日夜間を利用したパートタイム型のカリキュラムを開講する大学院も増えてきている。

著者プロフィール

裴 英洙(ハイズ(株)代表取締役社長)●はい えいしゅ氏。1972年生まれ。金沢大学大学院医学研究科修了。外科医・病理医として勤務後、MBAを取得し2009年に起業。医業経営コンサルタントの仕事の傍ら、再建先で臨床医として医療現場に携わる。

連載の紹介

裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
医療機関の経営問題を解決しないと、医師が意欲を持って働けない—。そんな危機感からMBAを取得し、コンサルティング会社を設立した異色キャリアの医師。これまでの経営支援の経験から、病医院で見過ごされがちな問題やエピソードを語ります。
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(裴英洙著、日経ヘルスケア編、日経BP社、2400円税別)

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