
空気のみの描出で皮下気腫の分布が確認できる。2本のチューブも挿入状態も分かる。
11月13日に公開した「職場で突然死した30歳女性のAi」は、画像の衝撃度もあってか、たくさんの医師の方々にご覧いただきました。今回は、Ai動画コンテンツの第2弾として、千葉大Aiセンターの山本正二氏に、「交通外傷で死亡した30代の男性」の症例を取り上げ、解説してもらいました。
既にご存じの方も多いと思いますが、Ai(エーアイ)とは、Autopsy(解剖)とImaging(画像)を融合させた新しい概念で、患者の死後、CTなどを用いて画像診断を行い、正確な剖検につなげようというものです。
つまり、既に解剖をすることが決まっている症例の前段階として画像診断を行うのが、Aiの基本であるわけですが、少し見方を変えると、新たな可能性が広がります。それが、医療事故や医療訴訟の際の証拠保全としてのAiです。
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」では、医療事故調査委員会の創設が検討され、科学的に死因を解明する方法も論点の一つとなっています。しかし、現在の枠組みでは、患者が死亡した状況を示すものは、その場で診療に従事した当事者の証言以外にほとんどありません。