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【日経メディカル「日本医学会総会」レビュー Vol.5】
《'91京都総会》 転換期を歌い上げた第23回日本医学会総会

2007/05/04

 1991年の第23回日本医学会総会のメインテーマは「転換期に立つ医学・医療」。学術講演のプログラムは、癌、老化など15の柱となるサブテーマの下で、演題は400題を超えています。その中から、特に「転換期」を象徴する3つのキーワードとして取り上げたのが、「臓器移植」「QOL」「予防医学」でした。

 中でも、「なんといっても今総会の話題の中心は臓器移植」で、他のシンポは2時間枠だったのに対し、シンポジウム「心臓移植・肝臓移植・肺移植をめぐる諸問題」だけが唯一4時間枠で、組織委員会が破格の扱いをしていた、と書いています。

 肝臓移植の第一人者であるピッツバーグ大学外科教授のトーマス・スターツル氏の講演には、300人以上の聴衆が詰めかけ、多臓器同時移植例の術中スライドが映し出されると、会場からはどよめきの声が上がったそうです。

 最先端の研究成果の発表とは対照的に、倫理委員会のあり方をめぐる議論では、閉鎖性が浮き彫りにされ、公開賛成派と公開慎重派が意見を述べたが、突っ込んだ議論にはならなかったと指摘しています。

 この'91京都総会は、「医師だけではなく、すべての医療関係者の生涯教育の場」と位置付けられ、開かれた総会となりました。しかし開かれた総会は、医師と患者の意識にギャップがあることも浮き彫りにした、と書かれています。

 双方向のパネルディスカッション「インフォームド・コンセント――変貌する医師と患者の関係」では、会場の壇上に作家や法学者など非医師、テレビの向こうは大阪府医師会の開業医たちが並ぶ、という設定でしたが、意見は平行線のままだったそうです。

 閉会講演は作家の司馬遼太郎氏。「その窓からのぞけば自分の行く先、足取りが見えてくるのが哲学だ。いま、お釈迦様でものぞかなかった生命の本物をのぞいているのは、最先端の医科学者だ。新しい哲学を医師が創出してほしい」と語っています。(佐原@編集部)

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