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【日経メディカル「日本医学会総会」レビュー Vol.4】
《'87東京総会》 医学・医療の光と影を見据える

2007/05/03

 1987年の第22回日本医学会総会では、それまでの「反医学会総会」の文字が消え、「皇太子殿下、美智子妃殿下のご臨席のもとに新高輪プリンスホテル・飛天で開会式が行われた」そうです。

 メインテーマは「21世紀への医学と医療」。Science、Art、Humanityが3つの柱で、293のテーマが論じられました。80年代から、21世紀を意識した企画が立てられていたのに驚きました。

 開会講演で千葉大名誉教授(当時)の川喜田愛郎氏は、「現代の医術は、ヒトの生命の紫外線領域と赤外線領域にまで手を広げた結果、体外受精、出生前診断、臓器移植と脳死、延命・蘇生など、今まで存在しなかった新たな問題が表れている。だが、医学の本質は、今日でも癒しの術(arsmedendi)にある」と述べ、脱人間化に拍車をかけてきた現代医学に技術的・倫理的再考を求めました。

 さらに閉会講演でも、作家の柳田邦男氏が、「イノベーションの時代のひずみとして、人間を全体としてみる医療、心のある医療が失われつつある。これらを失わぬようにするにはどうすればよいか」と問題を提起しています。

 これらを受けて、記事では「現代医学が華々しい進歩の陰に人間を置き忘れてきたことへの警鐘ともいうべきものであった。これも今総会の性格、時代背景を反映したものだろう」と指摘しています。

 記事では、癌、エイズに焦点を当てて、当時の先端研究の成果を取り上げています。このほか、パネルディスカッション「医療情報ネットワーク」では、会場と長野県・諏訪中央病院を通信衛星さくら2号で結び、画像の伝送実験が行われたそうです。

 また、この総会から、看護師など医師以外の医療関係者に初めて参加の門戸が開かれたのをはじめ、「ニュー医療・健康サービス」「くすりの博物館」の展示を、西武百貨店池袋店で行ったり、「特別公開講座――くすりによる治療の進歩と将来」「AIDSに関する講演会」など一般公開の講演会を催し、いずれも大盛況だったとのこと。

 なお、この年4月から日本医師会の生涯教育制度が本制度化しました。各会場には受講を記録するためのスタンプが用意され、会員が“慣れない手つきで”記録メモに押印する姿が見られたそうです。(佐原@編集部)

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