
「いやはや大変な警備だった」「学術集会の成功は警備のおかげ」――。1979年5月号に掲載された東京総会を取材した記者座談会の書き出しです。前回の京都総会で開会式ができなかったほどの混乱を受けて、とにかく厳しい警備体制が敷かれていたようです。
そんな厳しい警備の中、「夫婦連れが多かったのが目についた。都内のある医大教授が自分の講演を奥さんに聞かせていたのは、総会ならではという感じがした」そうです。ちなみに、同じ号の『日経メディカル』には、医薬品広告の中に混じって、1カラットのダイヤモンドが付いた170万円の指輪の広告も載っていました。
なお、記者座談会の最後の話題は「総会無用論」でした。「総会無用論というのも結構聞くけれども、ボクはあった方がよいと思う。4年間の医学の進歩はすさまじいものね」とのコメント。今も昔も論点は変わらないようです。
さて、この東京総会のテーマは「明日の医学をひらく――創造と実践」。創造=基礎研究、実践=臨床、という位置付けで、130題の講演やシンポジウムが行われました。「実地医家のために」という柱を設けて、開業医が参加しやすい内容にしたそうです。その中から日経メディカルでは、実地医家に関連が深く、進歩の著しいものとして、(1)救急医療、(2)薬の使い方、(3)免疫疾患の診断と治療――の3つを選んでいます。
救急医療では「ゴールデン・アワーを逃すな」のキャッチフレーズで、初期医療の重要性をクローズアップ。薬の使い方では、「薬物の生体内利用度 製薬メーカーにより同一薬剤の薬効が異なる」、「ステロイド療法 分子レベルの作用機構の解明進み新段階迎える」などを解説しています。また「予防を抗生剤に頼りすぎないよう」として、耐性菌の問題も指摘しています。免疫療法では、ガンの免疫療法、免疫不全などが紹介されていました。(佐原@編集部)