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「それは精神的な問題です」と内科医が言うとき

2019/08/23
尾藤誠司(東京医療センター

 当院の総合内科の外来には、実に様々な方がやってきます。私の場合、初診外来に出ると、1日に12人程度の患者を担当するのですが、半数は紹介患者、半数は直接受診される患者です。大学のように「全く診断がつかないのでドクターGに!」的な初診もあるにはあるのですが、むしろメインはプライマリケアの現場でよく遭遇する、頭痛や倦怠感、めまい、体重減少、急性感染症、検診異常などの問題を抱えた初診患者です。

 そしてここ数年、初診外来をやっていて感じるのは、血液検査や画像検査では問題がないのに、体調が極めて不良の患者がとても増えたということです。「慢性頭痛と下痢、腹痛」「激しい倦怠感」「あちこちの体の痛み」「眼輪筋痙縮」など、患者は様々な体の不具合を自覚しており、実際日常生活がこれらの体の不具合に苛まれているのですが、一方で検査にこれといった異常があるわけではないのです。

 症状がひどく複数の医療機関を受診し、それぞれの医療機関で免疫系の検査や全身のCT検査、椎体のMRI検査などを複数受け、挙げ句の果てに医師から「身体に病気はありません。恐らくこれは精神的な問題だと考えられますので精神科(あるいは心療内科)を紹介します」と言われた経験を持つ方がたくさんいらっしゃいます。

 その方々が精神科を受診し、精神科医から「あなたには心あるいは精神の病気がありそうです」と言われるかといえば、そんなことはありません。なぜなら、そういった患者の多くはうつ病の基準を満たさず、不安障害はあったとしてもそれが(もちろん関連はあるにせよ)体の不調の明確な根拠ではないからです。ですから、本当に困り果てて、まさに「患している者」として私の初診にしばしば来られる方々は、

整形外科

内科

●●科(その他もろもろ)

精神科

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みたいな受診歴を持たれています。

連載の紹介

尾藤誠司の「ヒポクラテスによろしく」
医師のあり方を神に誓った「ヒポクラテスの誓い」。紀元前から今でも大切な規範として受け継がれていますが、現代日本の医療者にはそぐわない部分も多々あります。尾藤氏が、医師と患者の新しい関係、次代の医師像などについて提言します。

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