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「命綱」治療の中止を決断する上で、医療者が注意するべき2つのこと

2019/04/11
尾藤誠司(東京医療センター)

 今回の公立福生病院の人工透析中断にまつわる報道で、医療者も社会も少なからず困惑があると思いますし、その困惑の内容も様々だと思います。今回の件について、報道などを通じて間接的に知ることはできましたが、私が報道によって知り得ることは事実のごく一部なんだと思います。ですから、公立福生病院で起きた具体的な事象について「やめるべきではなかった」とか「やめる判断は正しいと思う」とかを私の立場で意見することはできないと思っています。

 一方で、「継続されている命綱的な治療を患者の申し出に基づいて中断するという選択肢はあるのか?」という質問に対して、私は明確に「ある」と答えますし、特に人生の最終段階の医療においては、以前の記事(「やめられないから始めない」から抜け出そう)でも書いたように、「一度始めた治療はやめられない」という前提があるために、回復の見込みが期待できる治療の開始が差し控えられることの方が問題だと私は思っています。つまり、その時その時で「この医療介入は患者にとって利益になっているのか?」を考えることができる環境づくりが大切だと考えています。

連載の紹介

尾藤誠司の「ヒポクラテスによろしく」
医師のあり方を神に誓った「ヒポクラテスの誓い」。紀元前から今でも大切な規範として受け継がれていますが、現代日本の医療者にはそぐわない部分も多々あります。尾藤氏が、医師と患者の新しい関係、次代の医師像などについて提言します。

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