
熊本市南区におけるコロナウイルス対応連絡会議で司会をする著者(写真右)
2月初めから、熊本市は救急医療体制が崩壊している。ひっ迫ではなく、これはもう崩壊だ。
もちろん崩壊の定義にもよるとは思うが、東日本大震災による原発事故の際、「メルトダウン」という言葉をほとんど使わなかったのと同様、「医療崩壊」という言葉も、政府は使いたくないのだろう。しかし、2月から熊本市内の医療機関の病床使用率は、80%を超過する状況が続いている。
一般の人からみれば、「80%病床が埋まっていても、あと20%空いているじゃない」と思われるかもしれない。でも実際は、病床の80%が埋まれば、人員不足になり、救急医療や緊急手術などは不可能である。通常診療は当然制限され、救急車は受け入れ困難が続き、数字としては出てこないものの現場感覚として、早く治療できていれば助かった患者はかなりの数となっている。
東病院もオミクロン株の感染力に屈し、看護師や入院患者の中で感染者が発生し、2月から救急車の受け入れが困難になった。院内に感染者が出るとその治療に手がかかるので、外部からの受け入れが難しい。