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虎、新型コロナから幕末の志士に想いをはせる

2021/02/23

 やっと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第3波も落ち着いてきた。しかし、「あーよかった」と言っている場合ではなく、私たち医療従事者は第4波に備えなければならない。

 あまり想像はしたくはないが、起きるとしたら第4波は、変異株による感染爆発になるのではないだろうか。そうなると、第3波と同様もしくはそれ以上の「有事」になる可能性もある。

 日本人は「有事」と聞くとすぐに戦争を連想しがちだ。しかし「有事」とは本来、国家の危機管理上、非常事態を指す言葉であり、戦争だけでなく大規模災害なども含まれる。「有事」の対義語は「平時」だが、今回のCOVID-19のパンデミック下での生活が、「普通の生活」だったと思う人はおそらくいないだろう。

 第3波が起こったとき、「なぜ政府は対策や準備をしていなかったのか」と考えた人も少なくなかったと思う。ただし、諸外国のように政府が迅速に動くことは、日本では難しいのではないかというのが私の見解だ。もっと迅速な決断ができるよう、政府や首相により強力な権限を持たせたらどうかという意見も聞かれる。しかし、強力な権限の集中には負の側面があることは歴史が証明している。何より日本人は、改革を進めるのが苦手なのではないかというのが私の考察だ。

 少し歴史を遡るが、1800年代、清国でアヘン戦争が起き、諸外国から江戸幕府へ開国の圧力が強まったころも、日本人は改革を進めるのが苦手だった。

 清国から茶などを大量に輸入していた英国は、対価として大量に輸出できる製品がなく、貿易赤字に陥っていた。そこで英国は、18世紀末から植民地であるインドで栽培したケシからアヘンを作り、清国へ密輸出を始める。その結果、清国ではアヘン吸引の悪弊が広がり、1796年にアヘンの輸入を禁止する。こうした態度に、1840年、英国は清国との間でアヘン戦争を起こした。その結果、清国は英国に敗れ、1842年に香港島を割譲するなど南京条約を結んで降伏することになる。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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