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安倍首相の辞任会見に覚えた違和感の正体

2020/09/02

辞任会見をする安倍首相(出典:首相官邸ホームページ

 安倍首相の辞任会見を見て違和感を覚えた。

 日本人は、いつから病人に対していたわりを持たなくなったのか。会見で、「お疲れさまでした」と言った記者はたった1人だった。私も、特別に安倍首相を支持しているわけではないが、スキャンダルや事件ではなく、病気で辞任を決めた日本の首相に、なぜいたわりの言葉一つかけられないのか、不思議に思った。

 「あの会見は真剣勝負なので言わなかった」

 問い詰められた記者の1人はこう言い訳していたが、本当に真剣勝負だったのだろうか。

 今はどうか分からないが、私たちの時代は体育の選択科目に武道があった。剣道にしても柔道にしても、試合になれば真剣勝負だ。だからといって、挨拶をしないなどありえない。真剣勝負だからこそ、礼に始まり、礼に終わる。これを無視すれば、暴力や暴行と変わらなくなる。

 私自身、7年間剣道をやったが、1本を取り、勝負がついた後にさらに攻撃をして、即退場になった剣士を見たことがある。もちろん、1本は取り消され、反則負けとなる。武道という日本の文化において、弱っている者を決して攻撃してはいけない、という哲学があるからだ。

 今回の辞任の原因は、潰瘍性大腸炎の悪化とされている。もしかして、それ以上の悪性化が起きている可能性も考えられなくはない。私も胃腸が弱く、よく下痢をするが、炎症性腸炎で生じる下痢は、頻回であり、夏の時期には脱水症状が認められることもある。さらに悪化すれば下血となり、脱水症状と貧血症状が重なって、職務どころか日常生活さえ困難になってくる。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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