日経メディカルのロゴ画像

あの孫さんに頼んでも難しい、感染防護具の調達

2020/05/22

 5月8日以降、熊本県内では新規感染者が出ていない。東京都をはじめとする特定警戒都道府県以外は、概ねこんなものである。外出を自粛すれば、地方では急速に人影がなくなり、感染拡大は防げる。

 テレビに映る、平日の品川駅の通勤風景は、新型コロナウイルス出現前の地方の平日の通勤ラッシュよりもはるかに人が多い。品川駅では、「これでも7割から8割減」と聞いて、改めて東京の人の多さに驚かされる。

 緊急事態宣言の解除を受け、熊本県も、自粛要請を順次解き始めている。緊急事態宣言の解除は政治判断なので、経済と医療の両面を鑑みた結果だ。それに対して、我々医療現場は、“第2波”に備えなければいけない。

 今回、熊本県でも数名の死者が出てしまったことは悔やみきれないが、医療崩壊というところまでは感染が拡大しなかった。もちろん、もっとPCR検査を広げたら、もっと感染が拡大していたのかもしれないが。実際は、検査したくても現場の準備が追いつかなかったのだろうと考えている。

 いずれにせよ第1波が収まってきた今こそ、検査体制の強化が必要だろう。これが、吉と出るか凶と出るかは分からないが、市民の思いは「疑い例をちゃんと検査して、陽性ならば早めに治療をしてほしい」というものだろう。

 もっとも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だけに気を取られてはいられない。今後、外来や救急では、熱中症を含めた患者が増える。熱中症では、発熱や頭痛、さらには味覚障害など中枢神経系の症状も現れる。

 当然、そうした患者は新型コロナウイルスの感染も疑われ、PCR検査が必要になるだろう。果たして、こうした検査の需要に検査機関が応じられるのだろうか。さらには、PCR検査を増やすことができたとして、陽性と診断される患者に対応できる体制が医療機関に整っているのだろうか。

 不安は尽きないが、臨床現場ではそうも言ってはられない。とにかく、第2波の準備だ。というわけで、急遽、日本病院会熊本支部として副島秀久支部長に相談した。その結果、5月7日午前に熊本県の田嶋徹副知事、同日午後に熊本市の大西一史市長に、相次いで面談することができた。面談には、県や市の職員の方も多数同席されていたが、どなたも疲労の色が濃く、新型コロナウイルスの感染拡大以降、まともに休息が取れていないのだろうと容易に想像できた。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
この連載が本になりました!
『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
好評発売中

 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

この記事を読んでいる人におすすめ