日経メディカルのロゴ画像

虎のメディクイズ(解答編)
診断は「オペ適応のアッペ」、反省しきりの虎

2019/02/06

問題編を先にお読みください。
 
 実は私自身、済生会熊本病院を受診するのも初めてなら、救急外来に自分が行くのも初めてである。済生会に着いた途端、嘔気を催してトイレで大量に胃液を嘔吐した。済生会の職員さんからはおそらく、「いつも大口叩いている奴が(患者になって)来た」と笑われるのだろうと思いつつ診察を受けた。ここまできたら、医療従事者の方の中には「もしかしたらあれでは……」と分かった方もいるだろう。

 そう、アニサキスではなかったのだ。救急担当の先生にも胃内視鏡でしっかり診ていただいたのだが、軽度の逆流性食道炎という所見だった。内視鏡後、アニサキスではなかったのかと一安心して帰った。なぜだか痛みも吐き気も軽減したのだ。その晩は疲れたのか、すぐに寝てしまった(今から振り返ると、この時点で腹痛が軽減したのは、内視鏡前に東病院で投与した鎮痛剤と、内視鏡施行時の鎮痛剤が効いて一過性に痛みが改善しただけだった)。目が覚めると,以前ほどではないにしろ腹痛がある。大事をとって、点滴と抗生剤で様子をみることにした。

 ところが、結果的にはこの1日が初期治療の遅れを生じさせたのだった。翌日朝には、右側腹部痛が強くなったが、いわゆる虫垂炎時のマックバーニー圧痛点はいくら押さえても痛くなく、むしろ右側腹部に痛みがあった。そこで私は、虫垂炎より憩室炎かもと考えた。とにかくCTで憩室炎の診断をしようと考え、再び東病院へ。そこで画像所見を見た眞方紳一郎副院長が「オペ適応のアッペだ」と診断し、再び済生会病院へ紹介されたのである。

 病室に着くなり、副院長の町田二郎先生がお越しになり、「中尾浩一院長がちょうど出張なので」とわざわざ伝えに来られたので恐縮してしまった。生死を彷徨う病気でもないのに、済生会病院の先生方に多大な迷惑をかけている。さらに、宮下恵理看護部長まで来られ、「何か困ったことはないですか?」と気を遣ってくださる。病診連携で何度もお会いしてはいるが、こんなときちょっと声かけてもらうだけでもすごく安心する。やっぱりこの人たちはプロフェッショナルだと改めて感じ入った。

 昔、自宅に飲みにきたこともある小川克大先生に主治医執刀医をしてもらった。外科の後輩で、術前に部屋に様子を見にきた松本克孝先生に「助手で入れよ」と言ったら「(外科部長の)高森啓史先生が『俺がけんちゃんの手術のカメラする』って聞かないんですよ……」という。誠に恐縮ながら、かつて熊本地域医療センターで一緒に働いたことのある高森先生にカメラ持ちをして頂いて、腹腔鏡下虫垂切除術が施行された。

 生まれて初めてのオペ。「オペの準備ができました」というので、病棟の担当看護師さんと共に歩いてオペ室に入りベッドに乗った。麻酔医の先生から「はい。大きな深呼吸を続けてください」と声を掛けられたと思ったら、静脈麻酔が効いて意識消失。次の瞬間、「終わりましたよ!」の声。なんてストレスフリーのオペなのだろう。

 部屋に着くまではネーザル2Lの酸素を投与されていた。自分の股間をまさぐったが、バルーンもドレーンも入っていない。ベッド上安静ではあるが、病棟の看護師さんに「トイレまで歩行していいか」と尋ねたら、「ふらつかなければいい」との許しを得た。ネーザルが取れた頃、トイレに点滴台を持って行ってみた。うっっ。尿道痛がある。当たり前だが、術中バルーンを入れられた実感を味わった。

 その後、一旦眠りについたものの、眠りは浅く3時と6時に巡視にきた看護師さんには気が付いた。6時に来た看護師さんに、飲水の許可を得てペットボトルの水を飲んでみた。さすがに気管支に吸い込まれる感がした。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
この連載が本になりました!
『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
好評発売中

 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

この記事を読んでいる人におすすめ