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虎が考える、救急車は有料化すべきか!?

2015/07/06
東謙二

東病院に列を作る救急車。

 先日、「ビートたけしのTVタックル」というテレビ番組で「ココがオカシイ!ニッポンの医療SP」という放送があった。医療に関連する話題がいくつか議論され、そのうちの1つが「救急車の有料化に賛成か反対か」というテーマだった。

 同番組は、白黒はっきりつけるというよりは、問題提起をしたまま、最後にお茶を濁して終わる、というパターンが多いので、結論が出たわけではない。ただ、民間病院で救急の底辺を目の当たりにしている身としては、有料化云々と言う前に、まずはやることがあるのでは、と考えている。

医療が必要な患者はトリアージして受け入れる
 救急車の有料化は、今春、財務省が財政制度等審議会において、軽症で救急車を呼んだ人に費用を請求することを提案し、話題になった。背景には、日本の財政再建の一環として、年約2兆円に上る消防関係予算を抑える狙いがあるようだ。現状のまま、救急車の出動件数が増え続ければ、当然、消防関係予算は膨らみ続ける。

 だからといって「有料化だ」というのは、あまりに安直な気がする。まず検討すべきは、限られた医療資源である救急車、救急隊をいかに有効活用して、症状・症例に応じた対応を徹底するという点ではないのだろうか。

 東病院では、これまで約300件だった救急車の年間搬入件数が、近年は600件以上に倍増している。なぜ倍増したのか、その原因は分かっていない。しかし、消防庁が発表する救急出動件数が、十数年間にわたり右肩上がりで伸びていることから、日本全体で増加傾向にあるのは間違いないだろう。

 最近、熊本の救急隊から搬送先の病院には、どこの病院に断られ、何件目に運ばれてきたかを記載したプレホスピタルレコードが渡される。同レコードを見ると、かかりつけの病院が断った末、東病院に運ばれていることが把握できる。当院の受け入れ件数の約3割は、他病院で断られ、2件目から3件目にたどりついた症例だ。

 東病院では、救急隊から連絡があった患者は、基本的に全例受け入れるよう心掛けているので、病院に救急車が2台、3台列を作ることも珍しくなく、周囲の住民からは「救急銀座」と呼ばれている。こんな小病院であっても、受け入れ拒否せずにいられるのには、いくつかの理由がある。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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