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“隠れ家風”の救急医療機関なんてあり得ない!

2014/11/04
東謙二

 この前、東病院の吉仲一樹事務長から相談を受けた。吉仲事務長は、市内の民間医療機関の事務長を集めた会合で、複数の病院から「救急指定を取りたいから、ノウハウを教えてほしい」と言われたのだそうだ。というわけで、「当院のやり方を教えても良いものか」と相談にきたのだ。

 私は、「ぜひ、できる限り教えてやってくれ」とお願いした。救急は患者を取り合うのではなく、病院が手を取り合ってたらい回しのない環境を作るのが理想だからだ。

2014年に救急指定の医療機関が10施設増加!

 もちろん実際には、優先的に診てもらうために救急車を呼んだり、便利だからと救急車をタクシー代わりに使ったり、平日や昼間の発症でも夜間救急を受診したりといった患者が少なくない。そうした患者のモラルが救急に携わる医師のモチベーションを大いに低下させているのも現実だ。しかし、そこを何とか我慢して、救急指定を受ける医療機関を増やすことは必要だろう。

 吉仲事務長の助言が役立ったかどうかは不明だが、熊本市内で救急を手掛ける医療機関は増えている。9月19日に開催された「2014年度救急告示医療機関懇談会」でも、救急指定を受けた民間医療機関が2013年度の20施設から2014年度には30施設へと増えたことがテーマだった。ちなみに同懇親会は、熊本大学医学部付属病院を含む基幹病院6施設と、救急指定を受けている民間救急医療機関、熊本市消防局の救急隊が集まって毎年開かれている会合だ。

 なぜ救急指定の民間医療機関が増えたのか――。背景にあるのは、2014年度の診療報酬改定で地域包括ケア病棟の入院基本料算定のための施設基準の1つに、「救急病院等を定める法令に基づき認定された救急病院である」という項目が入ったためと推測される。まあ、厳密な理由は分からないが、いずれにせよ救急をしようと考える医療機関が10施設増えたことは、とにもかくにも嬉しいことだ。

 顔ぶれは、東病院が所属する中部では桜十字病院(熊本・南)と御幸病院(熊本・南)と平成とうや病院(熊本・南)、東部では帯山中央病院(熊本・中央)、西部では嶋田病院(熊本・中央)、青磁野病院(熊本・西)、南部では整形外科井上病院(熊本・中央)、北部では寺尾病院(熊本・北)、武蔵ヶ丘病院(熊本・北)、表参道吉田病院(熊本・中央)の計10施設である。

 中には、東病院がベッド満床で困っているときに、後方支援で患者を受けていただいたところも多い。ただ、慢性期病院だと、ベッドの回転が遅いせいか転院にも時間が掛かり、連鎖的に基幹病院からの東病院の受け入れが遅くなり、なんともヤキモキすることが多かった。今後、一緒に救急をやっていくことで回転が良くなるのではと期待している。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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