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虎、あの時の仲間を熊本に迎える

2013/10/31

 懐かしい仲間が遠方から来る。11月18日に開催される「明日の医療連携を考える会」の特別講演で、東日本大震災の医療支援でお世話になった今泉西病院(福島県郡山市)総合診療科長の吉田孝司先生に、福島から熊本までわざわざお越しいただくことになった。

 「明日の医療連携を考える会」は毎年、50歳代以下ぐらいの開業医を対象に開かれる学術講演会だ(参考記事: 2012.6.1「酒豪が支える九州の医療」)。熊本でずっと医者をやっていると、紹介状を書いたことはあっても、相手の顔は知らないということが意外に多い。そういう相手と講演会で顔を合わせ、日頃の連携に生かそうというわけだ。いわば、開業医のオフ会である。

 東日本大震災から2年半が過ぎた。当時は私も被災地の医療支援に参加したが、所詮、九州からちょっと行っただけのことである(参考記事: 2011.5.2「虎、被災地支援に行く~その1~」)。その後、自分が手伝った避難所がどうなったのか、あの時の被災者はどこに行ったのか、今となってはさっぱり分からない。どうしても、“やりっぱなし”の感は拭い切れない。

伊豆大島の山津波被害に想う
 今も、伊豆大島の山津波による被害が連日テレビに映し出されている。画面に映る自衛隊員を見て、東日本大震災の当時、支援に行った先で救助活動をしていた自衛隊を思い出す。二次災害の危険がある中で、恐怖を押し殺しながら黙々と作業を続ける姿に、心から敬意を払わずにはいられなかった。お風呂には入れているんだろうか、テント生活で寒くはないだろうか――。現場からリポートするアナウンサーの向こうに小さく映る自衛隊員の姿に、ついつい目が行ってしまう。

 震災や豪雨、台風と、大きな災害が続いている日本の中でも、汚染水問題をはじめとする福島が抱える問題は本当に深刻である。その福島の現場で医療をされている吉田先生に講演会で話をしてもらうことになった。現場ではおそらく、九州人が予想だにしないことが起きているのだろう。

 でも、原発事故は次にどこで起こるかわからない。鹿児島の北西部、熊本との県境近くには九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)がある。もしここで事故が起きれば、鹿児島だけでなく県を接する熊本の医療機関も確実に治療拠点となる。その時に、間違っても医師が遠くへ逃げることなく、災害や事故に立ち向かうためには、物理的・精神的にどのような備えが必要なのか。実際に今、福島で診療を続けている現場の医師に聞いてみたい。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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