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虎、同窓会での女性陣への鉄板の挨拶を考える

2013/10/01

 医学部を卒業して、あっという間に20年という長い歳月がたっていた。先日、Facebookのイベント欄を見て、突然そのことに気が付いた。久留米大腎臓内科准教授の深水圭先生から、久留米大医学部・卒後20年の同窓会のお誘いが掲示されていのだ。

 私のFacebook歴は結構浅い。昨年、母校である熊大教育学部付属中学校の同窓会の代表幹事を任じられたとき、常任理事会で60歳代の先輩から「1万人もの同窓生を集めるのに、Facebookもしてないなんて…」とあきれられた。半信半疑で使ってみると、同窓会の人集めには確かに有用であった。代表幹事の役目を終えた私は、元のアナログ人間に戻ったものの、たまたまFacebookを見ている時に、今回の深水先生のお誘いを見付けたのだ。

 同窓会の開催場所は、久留米出身の藤井フミヤが結婚式を挙げたことでも知られる萃香園ホテルである。昔から、久留米大の公式行事はだいたいこのホテルで執り行われる。卒後20年の同窓会には、同窓生120人のうち約70人が参加した。幹事から司会まで、全て深水先生がこなされていたので、大変だったと思う。私なんか、昨年の中学の同窓会では、代表幹事ではあったが司会も進行もほぼ他人任せで、当日は会場を徘徊していただけだった。

貴公子と九州男児との違い
 深水先生は私と同じ熊本出身である。とはいえ、優しい顔立ちの美男子で、20年たっても昔と変わらず貴公子のままだ。私なんか東京などに行くと、熊本出身というだけで、軽い微笑を浮かべて迎えられることが多い。「やっぱりね…」と言わんばかりである。そして、必ずと言っていいほど「九州男児っぽい」という一言が付いてくる。

 「九州男児っぽい」のが、カッコイイという意味なのか田舎者という意味なのかは分からない。日本人が海外に行って「日本人っぽい」と言われた時と同じような感じだろう。褒められているのか馬鹿にされているのかは不明だが、いずれにせよ、そう決め付けられるのだ。

 そういう時は、「九州で生まれて九州で育ったんだから、当たり前だろっ!」「お前だって、それが東京顔かよっ!?」とツッコミたい気持ちを抑えつつ、大人の私は「ですよね~」と笑顔で返すことにしている。

 それはいいとして、深水先生は、酒の飲み方さえも私と違う。カラオケを歌いながらドンちゃん騒ぎで焼酎をラッパ飲みする私と違い、クラシックの流れるバーでスコッチでも飲んでいそうな印象だ。この違いが遺伝子か環境因子のせいかは分からないが、地理的因子ではないことだけは明らかだ。

 出席者の某教授のちょっと長い挨拶の後、愛媛出身で現在は愛媛大整形外科学講師を務める今井浩先生の乾杯で同窓会はスタートした。今井先生は、当時で言うところのシティーボーイであったが、これまた昔と変わっておらず、今もアンチエイジングに余念がない様子だった。

 同窓会は順調に進んだが、そんな中、私はある重大なミスを犯した。同窓会における女性への挨拶の仕方である。

 実は昨年、中学校の同窓会で集まった女性陣が、「いやー、京子ちゃん久しぶりー! 全然変わらないねー!」「えー! 恵美子もぜんぜん変わってないよ! すぐ分かったよー!」と、互いに同じようなセリフを連発。それを聞いていた私は耐え難くなり、「いやいや皆さん、中学時代から30年たって、しっかりと変わられています」と、ついつい余計なことを言ってしまった。

 その後、元女子、いや、女性陣から総顰蹙(ひんしゅく)を買ったことは言うまでもない。真実がどうであれ、その時私は、「昔と変わらないね」というセリフが同窓会で女性陣に話しかける時の鉄板の挨拶であることを学習した。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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