日経メディカルのロゴ画像

虎、衆院選とTPPと「明治維新」について考える

2012/12/12

 “ジングルベル、ジングルベル”のクリスマスまでもうちょっと。なんて言っている場合じゃない。

 衆議院選が急きょ、12月16日に行われることになった。政治に疎い私には、よく分からんことばかり。選挙には必ず行くことにしているのだが、今回は本当によく分からん。投票すべきは自民か、民主か、はたまた乱立する第三極か。

 やはり、マニュフェスト破りやこれまでの政治の混乱ぶりからして民主はないかな…。でも第三極と言われる政党に票を入れて、また失敗しないかなぁ…。となると無難なのは自民かな…。でも党首討論で野田総理が突然、解散宣言した時の安倍総裁の狼狽ぶりはカッコ悪かったしな…。

TPPに参加したら…どうなるの?
 んー、じゃあ、政策で比較してみるかな。自分に最も関係するのは、やっぱりTPP(環太平洋経済連携協定)かな。民主はTPPの交渉参加に前向きだし、自民もなんだかんだ言いながら結局TPPの交渉に参加しそうな気がする。日本維新の会も、基本的に交渉参加に賛成ですよね。交渉参加に反対なのは、日本未来の党と共産党、あとは他の小政党か。ちなみに日本医師会は、交渉参加に反対なんだよね。医師会が共産党を選ぶことはないだろうから、未来の党か小政党を支持するのかな。あ、今回はどこも支持しないのか。

 昨今、「TPPに参加したらダメなんだよ」ってよく聞くけれど、でも詳しくは分からん。医師会の広報誌では「国民皆保険制度が壊れてしまう」って言っている記事が多い。私は本当かどうか調べるだけの時間がないのでよく分からないが、TPPに参加すると混合診療や営利法人の病院経営が解禁される恐れがあるみたいだ。

 でも例えば混合診療が解禁されると、今まで行われていた治療が公的医療保険だけで受けられなくなっちゃうのかな。私は貧乏ではないけれど、今の保険の範囲内で治療してもらえれば十分で、大枚はたいてまで特別な治療を望まないけどなぁ。まあ、いずれにしても国民皆保険は壊れてしまうのかな。

 TPPに参加したら、各国の医薬品の特許関連ルールが制限されて先発医薬品の特許期間が延び、最終的にジェネリック医薬品がかなり使いにくくなる、っていう話はどうなのだろう。先発医薬品を多く抱える米国の製薬会社にとって、かなりおいしい話だ。製薬産業は一大産業だし、米国政府が各国の特許関連ルールの制限を持ち出すっていうのは、かなりあり得そうだな。

 結局、TPPに参加したらどうなるかは想像の域を出ないのだが、国民のほとんどは、結果がどうあれ改革を望んでいる。明治維新のように、この国のどっかに坂本龍馬が現れて、幕府を倒して、ちょんまげがなくなり、さらなる近代国家として生まれ変わってほしいという、変身(してほしい)願望が強いのだ。

改革を望むならば、自分の不幸を覚悟せよ
 現在を幕末に置き換えることが正しいかどうかは別として、明治維新が何だったのかを考えてみる。維新によって、みんなが笑って暮らせる世の中が到来したなんてことはなかったよな。

 幕末には江戸幕府の倒幕運動やら戊辰戦争やらで大勢の人が死に、幕府側にも新政府側にも改革の犠牲になった人が数多くいた。かつて旗本だった武士の一部は大政奉還後、徳川本家が存続を許された静岡藩で不慣れなお茶作りを余議なくされたそうだ。幕府に出入りしていた納入業者は、ほとんどが仕事を失っただろう。改革の時代に遭遇した人たちの大多数は、つらい日々を過ごしたに違いない。

 それでも、「目の前にあるつらさ」と「将来の幸せ」をてんびんにかけることで、納得できるのかもしれない。我々が改革を望むならば、自分の不幸は覚悟しなければならない。「後世の人々に感謝されるような国作りができさえすればそれで満足だ」くらいの気持ちを持たないとダメだろう。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
この連載が本になりました!
『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
好評発売中

 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

この記事を読んでいる人におすすめ