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専門医認定制度はぜひ続いてほしい、その本当のワケは…

2012/11/02

専門医資格は、まだ必要か」――。

 最近、開業医の仲間うちで、この手の話題がよく持ち上がる。私が大学病院の勤務医だった時代は教授や先輩から学会で発表するよう指示され、頻繁に学会に出席していたので、おのずと資格が維持できていた。ところが、開業したり個人病院に勤務したりすると、学会に参加するのにわざわざ仕事を休まなきゃいけなくなる。

 日本専門医制評価・認定機構は今のところ、79学会と協調し、「5年以上の専門研修を受けて」「資格審査ならびに専門医試験に合格し」「学会の認定を受けた」医師を専門医と定義している。元来、専門医制度とは、特定分野での知識や技術の向上に資する教育を実施し、結果として医療の質を高める目的で創設されたものだ。

 一方、私のような輩は、「この専門医資格を持っていたら、後々、診療報酬で評価されておトクなのでは…」なんて、下衆な勘繰りばかり。ただ残念なことに、開業してから今日まで、専門医を持っていて診療報酬でトクした覚えはない。とはいえ、せっかく試験やセミナーまで受けて取得した専門医を手放すのも惜しい…。

 こんな葛藤を胸に秘めつつ、今でも一応せっせと学会には足を運んでいる。やはり学会に出席すると、臨床現場で使われている最新の検査法や治療法に関して学ぶことが多い。そして何より魅力なのが、大手を振って病院をお休みでき、旅に出られることだ。

「待ってろよ、神戸三宮」
 というわけで、今回も10月に開催された「日本消化器関連学会週間(JDDW)2012」に参加するために出張した。行き先は以前、ICD講習会で無念の日帰り出張をした神戸である(2012.7.12の記事参照)。今度こそ夜の三宮を満喫すべく、病院にお願いして“お泊り”を許可していただいた。しかも、新神戸までの移動時間(3時間)でこのブログをやっつけてしまい、学会にちょっと顔を出して心置きなく夜の街に繰り出す、という我ながら完璧な旅行プランを思いついた。

 しかし、ここまで書いたところで窓の外に目をやると、なんともう岡山ではないか。全く自分の文才の貧弱さには落胆してしまう。姫路を過ぎるまでにはどうにか文章をまとめ、三宮のホテルに閉じこもってブログの執筆なんて悲劇は絶対に避けようと、頑張ることにした。

「待ってろよ、神戸三宮」――。

 と心に誓ったものの、やはりない袖は振れなかった。新幹線は無情にも、新神戸に到着。無念。ああ無念。ブログ執筆を途中でやめ、傷心のまま、新神戸駅からシャトルバスで学会の会場の国際会議場に向かった。

 今回のJDDWで特に面白かったのは、「患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫」と題されたワークショップ。島根大第2内科の木下芳一教授の軽妙な司会で始まった同ワークショップでは、咽頭麻酔時にリドカイン飴をなめさせる、胃の蠕動運動抑制のためにペパーミントオイルを使うといったユニークな内容を、結構若手の先生が次々に発表した。こうした工夫は将来、内視鏡検査のスタンダードになるかもしれない。若い優秀な先生が、今までの慣習にとらわれず、新しい発想で発表している姿を目にし、私もなんだかうれしくなった。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
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 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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