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落合ドラゴンズと病院経営・・・・・・涙

2010/10/04

 全国の中日ドラゴンズファンの皆様、優勝おめでとうございます。どこかの医学雑誌の編集長がほそく微笑んでいると思うととても悔しい。次号の日経メディカルの表紙に竜が載っていたら破いてやる――。

 えっ、クライマックスシリーズが残っているって。いやいや真の野球ファンにとっては、リーグ1位こそが優勝であり、クライマックスシリーズなんてお祭りみたいなものでしょう。6カ月の長丁場のペナントレースを見越して投手力を強化していき、阪神や巨人みたいな打撃に頼るしかないチームに競り勝っていく落合監督のしたたかさは、病院経営をしているものにとっても学ぶべきところが多いです。
 
 落合監督は、スポーツ記者のインタビューに答えるとチーム内情が漏れるとの考えから、監督になってからはほとんどマスコミの前には出ないし、リップサービスもほとんどしないようです。ドラゴンズの親会社の中日新聞の記者ですら、落合監督を嫌っているとの噂もあるくらいです。

 勝っても負けても無表情のまま、6カ月間というスパンを頭において、いや、さらに長い将来を見据えて戦ってきたのでしょう。我々経営者も、短期の経営状態が良くても意味がなく、どうすれば半永続的に安定した経営ができるかを考えながら仕事をしなければならないはず。でも、ついつい派手な宣伝効果(例えば今はやりのメディカルツーリズムとか……)や、速効性のある増収策に気持ちが揺れがちです。

 そう言えば、落合監督は、去年のワールド・ベースボール・クラシックにドラゴンズから主力選手を出場させませんでした。その時々の流行りに迎合せず、ただただ日本のプロ野球の頂点を目指すことに注力したわけです。日本のプロ野球の歴史により深く名を残すのは、リーグ優勝であって、お祭り大会ではないということを重々知っていたからこその決断だったのでしょう。医療の世界でも、最後に勝者とは、落合ドラゴンズのごとく、地味ではあるが患者の気持ちをしっかりとつかまえた、手堅い医療をする経営者なのかもしれません。

 なんか気持ちの落ち込みが、今回のブログを面白くないものにしてしまっている気がします。まだまだ落合監督のしたたかさが私には足りないようです。それにしても、く、く、悔しい……。ということで、気を取り直して今年の阪神タイガースを振り返ってみることにしましょう。

 阪神が優勝した……、ではなく好調だった原因は大きく2点あると思います。まず、第一にオープン戦で全く期待されていなかった外国人選手、マートンとブラゼルの二人の活躍です。これに金本か新井が並ぶとバース、掛布、岡田バックスクリーン3連発の再来をまた観ることができると、否応なしにも心が躍ったものです。ううう、悔しい。もう一つが城島の加入。しかし、これは阪神ファンとしては未知数でした。メジャーで通用しなかったのに日本で果たして活躍できるのか。活躍できたら正捕手の矢野はどうなるのか。その矢野の同級である金本や下柳(今年6月、42歳で20代の女性と結婚しました)は新しい女房、城島を受け入れるのか。いろんな心配の種がありましたが、悪い予感は開幕と同時に吹っ飛んでしまいました。

 金本の肩が限界に達して外野からの返球が数メートルしか投げられなかったことがありました。チェンジ後、ベンチに戻ったナインは見なかったことにするが如く皆押し黙っていました。そのとき城島が金本に、「金本さん、ちゃんと投げてくださいよ」と言い、ベンチ内の空気が一気に緩んだという話がとある雑誌に載っていました。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
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『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
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 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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