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キャサリン’S Barで医療連携

2008/07/07

熊本名物、病診連携
 県外の医師から「熊本の病診連携はいいねぇ」としばしば言われます。確かに、小児科領域では“熊本方式”という勤務医と開業医が一緒になって夜間診療をカバーする病診連携システムがあります。その熊本方式の中心で頑張っているのが、熊本地域医療センター副院長の後藤善隆先生です。

 私は月に1回程度、熊本市医師会の出動協力外科医として同センターの当直を手伝っています。その時に、後藤先生と話をする機会があります。話の内容の9割は芸能人の誰がかわいいとか、俺は昔も今もモテているぞーーといった与太話で、日本の医療にすぐには(いつまでたっても?)役に立たないことばかりです。ごくたまにですが、センターに協力してくれる医師が減ってきたなあとか、協力医の高齢化をなんとかせんと、といった現場で起こっている問題なども話し合っています。

 全国各地で小児科医療は危機に瀕していますが、それらの地域が抱えているのと同じ問題を熊本も抱えていると思います。ただ、勤務医と開業医の緊密な連携によって、市民から大きな苦情が来ることは回避できているようです。

 小児科以外でも市医師会が中心となって、内科・外科分野において勤務医と開業医が1カ月に1回程度の割り当てで夜間休日の当番をしています。でも、こういった取り組みは、程度の差こそあれ他の県でも同じように行われていることでしょう。

「なぜ東病院の案内地図に他の病院の名前が載ってるの?」
 では、熊本の病診連携は他県のそれとどこが違うのか。私はずっと熊本にいるのでその違いがわからなかったのですが、あるとき合点が行きました。それは、医療法人同仁会・京都九条病院理事長の松井道宣先生が熊本を訪れたときです。

 松井先生は東病院のパンフレットを見て「なぜ東病院の案内地図の中に、他の病院の名前も載っているの?」と驚きの声をあげました。最初、私は松井先生が何を驚いているのか理解できませんでした。「だって転院するとき、場所が出ている地図の方が説明しやすいでしょ」。そう答えると松井先生は、「それはそうだけど……」と今ひとつ納得がいかない表情でした。

 その夜、熊本の若手開業医20人近くと松井先生を囲んで飲み会をしたら、結構盛り上がりました。松井先生は帰り間際に、「これなら連携がうまくいく訳だ」とやっと納得しておられました。私はと言えば、「なんだ、京都にも“虎”がいるじゃないか」と驚かされた次第ですが。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
この連載が本になりました!
『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
好評発売中

 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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