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病院激戦区・熊本で63床救急病院が生き残った理由とは?

2008/05/20

 あらかじめ、お断りしておきたいのですが、“虎”と言うのは私の陰のあだ名です。「ひどい酔っぱらい」のことを表す“大トラ”から来ています。このような名前がついたのは、学生時代、久留米の歓楽街である文化街で私が酔っ払ってしまうと、友人の中に「おーおー、そろそろトラが出てきよるばい」などと言うふざけた輩(今は久留米大学の心臓外科医)がいたからです。

 後になって、大学の後輩で、今では懇意にさせていただいている成尾整形外科院長の成尾政一郎氏からも「『今夜はここのスナックにトラが出るから、来ないほうがいいぞ!』と仲間に連絡してました」と言われた時はショックでした。自分では決して酒癖が悪いとは思いませんが、一部の人々には“大トラ”に見えていたようです。

 そういうことで、残念ながら病院の経営手腕が“虎”ということでは全くありません。でも、いち阪神タイガースファン(しかも今年は絶好調!)として、光栄余りある悪名だと思っております。

2大病院に挟まれて……
 初回ですので、簡単に私が経営する東病院の紹介をしておきます。東病院は熊本市の南部に位置する63床(一般42床、医療療養21床)の中小病院です。1965年に父親の東謙一が開設し、創業43年になります。私は99年より勤務しています。

 開設当初から救急病院としてやってきましたが、私が赴任するのと前後して済生会熊本病院と熊本中央病院が近所に新築移転してきました。ご存じのかたも多いでしょうが、いずれも医療専門雑誌でよく取り上げられる、300~400床クラスの基幹病院です。その2大病院を結ぶ直線の中点に東病院は位置しており、どちらの病院にも車を使うと5分程度で着きます。

 私は99年に赴任した当初、こんな大病院にはさまれた場所で救急なんてしなくてもいいんじゃないかと思っていました。しかし、毎晩2~3人程度地元の患者が来ます。さらに、外来で患者さんに「もう救急やめようかなって思ってる」とぽつりと言ったら大反対されたりしました。2~3人のために当直医師と看護師、レントゲン技師を雇うのでは完全に赤字です。しかし、住民の声もあるので、昼間の黒字分で夜間の赤字をおぎなえる間は頑張って続けようと思ってました。

著者プロフィール

東謙二(医療法人東陽会・東病院理事長兼院長)●あずま けんじ氏。1993年久留米大卒。94年熊本大学医学部第2外科。熊本地域医療センター外科などを経て、2000年東病院副院長。03年より現職。

連載の紹介

東謙二の「“虎”の病院経営日記」
急性期の大病院がひしめく熊本市で、63床の病院を経営する東謙二氏。熊本市の若手開業医たちのリーダー的存在でもある東氏が、病院経営や医師仲間たちとの交流などについて、ざっくばらんに語ります。
この連載が本になりました!
『“虎”の病院経営日記 コバンザメ医療経営のススメ』
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 本連載、「東謙二の“虎”の病院経営日記」が1冊の本になりました。約10年間の掲載からよりぬきの回を「病院経営」「連携・救急」「医療の話」「ひと・酒」の4テーマに分け収録。書き下ろし「中小病院が生き残るための15箇条」の章は、「敵対より連携」「コバンザメ医療経営のススメ」「中小病院の生きる道」「2代目は本当にだめか」「同族経営と事業承継」……など、民間医療機関の経営者には必読の内容となっています。
(東謙二著、日経メディカル開発、2700円+税)

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