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ゆる~い入退院時の連携ルールをつくろう!

2017/06/15
宇都宮宏子(在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス)

© 2012 Osada Keiko

 今回は、いま、全国の市区町村で盛んになっている「在宅医療・介護連携推進事業研修」※1の取り組みの一つである「入退院時連携・協働ルール」づくりについてお伝えします。私の活動でも、最近、市区町村からのこうした研修やアドバイザーの依頼が多くなっています。

 皆さんの勤務先の病院の入院患者は、高齢者の占める割合が高くなっていると思います。そうすると、入院前にすでに在宅サービスを利用していた、すなわち担当ケアマネジャーがいるという方が増えているのではないでしょうか。
 
 一昔前は、入院前の様子について患者本人や家族から話を聞くことができていましたが、両者が高齢化するなかで聞き取りができないケースが増え、入院前の情報を入院後に継続することが難しくなってきています。たとえ担当のケアマネジャーがいたとしても、ケアマネジャーと病院側の医療者との間の情報共有がうまくいっておらず、それによる弊害が出てきていました。

 入退院時連携・協働ルールをつくることによって、入院前から担当しているケアマネジャーから病院側の医療者への情報提供を行いやすくなり、その人の暮らしを継続させるための退院支援計画に入院前の情報を反映することができます。例えば、病院の看護師とケアマネジャーが入院早期から連携すると、肺炎や心不全などを退院後に再燃させないための在宅での注意事項を共有したり、早期の訪問看護の導入につながり再入院が減ることが期待できます。また、セラピストや病棟看護師が早い段階で退院前自宅訪問をすることで家での生活環境を想定したリハビリが実現し、患者のモチベーション向上にもつながります。ケアプランに自立支援の視点が反映されるなどのメリットもあります。

 こうした先行する成功体験を広げていくため、まずは医療と介護の間にある壁を低くしようと、全国各地で、地域ごとの情報共有のためのツールや連携・協働のゆる〜いルールを、市区町村が調整役となって構築しようとしています。
 

担当ケアマネがいるか入院時に確認
 3月4日には、大分県竹田市主催の「在宅医療・介護連携推進事業研修」に講師として参加しました。テーマは「退院支援時の連携のあり方」でした。

 大分県は、2014年度の国のモデル事業「都道府県医療介護連携調整実証事業」※2に参加し、その後も県保健所のサポートを受けながら、各市町村で事業を継続しています。
 
 例えば、大分県豊肥保健所では、病院とケアマネジャーの連絡のタイミングや方法、情報共有を確実に行うための工夫、情報共有が必要な患者の基準などを具体的に示した「入退院に伴う病院とケアマネジャ―との情報共有ルール〜豊肥圏域版〜」を2016年に作成し、運用してきました(図)。このルールの特徴は、情報共有として「入院時」と「退院調整の時期」の2つの場面を取り上げている点でした。

著者プロフィール

宇都宮宏子◎うつのみやひろこ氏。1980年京都大学医療技術短期大学部看護学科卒業。看護師を経て訪問看護師に。2002年より京都大学附属病院退院調整看護師。2012年在宅ケア移行支援研究所を設立し、コンサルテーション活動などを行う。著書に『退院支援実践ナビ』『これからの退院支援・退院調整』『退院支援ガイドブック』ほか。

連載の紹介

宇都宮宏子の「退院支援」活動日誌
日本の退院支援・在宅療養移行支援のパイオニアである筆者の活動日誌。「退院支援の伝道師」として全国を駆け回る著者が、行く先々で出会った仲間たちの声とともに、日本の退院支援のいまとこれからを伝えるエッセイ風コラム。退院支援にかかわるあらゆる医療者に向けて、筆者が今感じていること、退院支援の課題ややりがい、読者に伝えたい熱い応援メッセージをお届けします。

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