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連携は必要最低限にしてほしい

2014/10/10

 他業種・多種職との連携が大切であることは、医療・介護業界において論をまたないだろう。誰もが「重要だ」と口にする。しかし私は、「連携は必要最低限にしてほしい!」「連携はできるだけ取らない方がいい」と考えており、それが、当社(以下、LE)の方針でもある。

 勘違いしないでほしい。これは、他業種間や多職種間でコミュニケーションを取らなくていいという意味ではない。もう少し具体的に説明すると、LEが行っている訪問看護と訪問リハビリについて、「一人のご利用者の方のすべての訪問を一つの店舗で完結させるようにしている」という意味だ。

 もちろん、業務上は、様々な規模の病院、医師、居宅支援介護事業所、他社の訪問看護ステーションとの連絡調整は必要であるし、それらはルーチン業務にもなっている。だが、一人の利用者に、当社の複数店舗のスタッフで関わることを、LEではできる限り禁じている。

 会社を創業して8年になるが、その間、連携について試行錯誤してみた。だが、社内の異なる店舗のステーション同士の連携、さらに社内の同じ部署の連携であっても、情報が正しく共有されていないといったミスが時々発生してしまう。人間はミスをする生き物だ。だから、人が業務を行う限り、連携はやってもやってもどこかでミスが生じやすいし、それ自体は完全に防げないかもしれない。情報共有のためのシステムが整っていれば、連携にかかる余計な時間と労力と伝達ミスを少なくすることはできるのではないだろうかとの仮説を立て、LEでも努力してきた。だが、単にシステムを整えればミスがなくなるわけではないことも実感した。

 社内での連携ですらこのような状況なのだから、ましてや、外部事業者との連携はなおさら神経を使う。日本語表現の難しさに起因することも多いが、読者の皆さんも連携先と「言った」「言わない」といった擦った揉んだを経験したことはないだろうか。

 事業者間の連携については、本来なら、国や自治体が在宅医療現場のICT化に対する予算を計上し、連携を目的とした全国統一の訪問看護・リハビリ用ソフトなどを開発し、「このソフトを使って連携してください」と指示してほしいくらいだ。そうでもしなければ、業者間で違うソフトを使っている現状や、自治体によって「○○区はこのソフト」「△△区はあのソフト」と互換性もないまま、やれ「連携だ!」「地域包括だ!」とかけ声を掛けるのは、チャンチャラおかしい。絵空ごとだ。ソフト業界を自由競争のままにしておいても、在宅現場のICT化は一向に完成しない。国のプロジェクトとして、連携・統計目的のシステムをクラウドで完成させれば、ひいては、(ICT化の真の目的である)医療費削減にもつながる。それができないなら、結局のところ、従来通りの、個々の企業間や医療機関間での連携以上の発展は望めないだろうと予想する。

著者プロフィール

多江和晃氏(Life On Vital Element代表取締役)●たえ かずあき氏。福井赤十字看護専門学校卒業後、福井赤十字病院、順天堂大附属順天堂医院などを経て、2007年に起業。現在、都内城南地区を中心に訪問看護事業所8拠点、居宅介護支援事業所等、計11拠点を運営し、14年にフィリピン支社開設。

連載の紹介

多江和晃の「失敗しない!?訪問看護ステーションの創り方」
「最期まで在宅で暮らせる環境を提供したい」ー。そんな思いから土日祝日も運営することをモットーに訪問看護ステーションを立ち上げ、事業拡大を進めてきた多江氏。「人こそすべて」と語る敏腕経営者が、人材マネジメントのノウハウを、自身の“失敗談”も交えて綴ります。

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