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訪問看護に向く人・向かない人

2013/12/02

 基本、口が悪い。そして自分が正しいと思うことを、周囲を顧みず堂々と言ってしまう――。そんな性格の私が、日経メディカルのご厚意により連載を書くことになった。多くの先輩方を差し置いて、至らぬ点の多い私が発言するのは恐縮だが、このような機会を頂いたことに感謝し、執筆を通じて自らを振り返りたいと思っている。

 私には、この連載のテーマである「訪問看護」を語る上で、まず皆さんに伝えたい持論がある。それは、訪問看護師は地域の専門職として、病院勤務の看護師とは180度異なる意識で仕事をしなければならないということだ。地域に一歩出ると、看護師の果たす役割は大きく変化する。

 病院では治療を最優先にケアに当たる。一方、在宅において看護師は、「生活を支える専門職」としての役割を担わなければならない。そうした意識のないまま、病院でのやり方をあてはめようとすれば、患者さんから即クレームが来る。もしくは最悪の場合、「もう来なくていい」と利用を断られる。残念ながら、私はこれまでこのような看護師を何人も見てきた。

 例えば、インスリン自己注射の際に何回も同じ針を使っている糖尿病患者さんを見て、「あー不潔!感染対策がなってない!」とつい大声を上げてしまう看護師は少なくない。だが、在宅の現場では、「そういうやり方もあるんですね」とまずは相手を受容するのが正しい対応である。その方の生活のあるがままを受け入れてラポールを築き、その上で初めて専門的アドバイスをするのが基本だ。「生活を支える」と口で言うのは簡単だが、このように行動に表すことは容易ではない。当社では、病院とは異なる「地域」に根ざした専門職であることをスタッフに自覚してもらうため、看護師の肩書きを「地域看護師」としている(写真)。

著者プロフィール

多江和晃氏(Life On Vital Element代表取締役)●たえ かずあき氏。福井赤十字看護専門学校卒業後、福井赤十字病院、順天堂大附属順天堂医院などを経て、2007年に起業。現在、都内城南地区を中心に訪問看護事業所8拠点、居宅介護支援事業所等、計11拠点を運営し、14年にフィリピン支社開設。

連載の紹介

多江和晃の「失敗しない!?訪問看護ステーションの創り方」
「最期まで在宅で暮らせる環境を提供したい」ー。そんな思いから土日祝日も運営することをモットーに訪問看護ステーションを立ち上げ、事業拡大を進めてきた多江氏。「人こそすべて」と語る敏腕経営者が、人材マネジメントのノウハウを、自身の“失敗談”も交えて綴ります。

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