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多職種によるパス見直しで病院収益が改善

2015/02/12
根本康子

 先日、「DPCマネジメント研究会学術大会」に初めて参加した。学友が演者の一人だったため、ぜひ講演を拝聴したいと思い、会場に足を運んだ。

 DPC制度(入院1日当たりの包括評価制度)は、急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度として、2003年に導入された。平たく言えば、病名や診療内容を「診断群」に分類し、分類ごとに1日当たりの入院費用を定めた計算方式である。当院も同年よりDPC参加病院となったが、当時はDPCに対して興味もなく、「手術は出来高」程度の知識しかなかった。DPCは医師の業務の範ちゅうであり、看護業務に何か関係している、つまり、看護師サイドで何かできるという意識も全くなかった。国の医療費抑制、在院日数短縮、医療の質向上といったDPC導入の目的や、DPC提出データの項目、DPC点数の決定方法すら知らなかった。

 そんな私も、師長として手術室のマネジメントを始め、手術部門システムやSPD(Supply Processing & Distribution)システムの構築に携わったことがきっかけでDPCに興味を持つようになった。

 DPCの包括範囲は出来高部分との混合で、出来高部分は手術や高額な処置などで報酬全体の30%、包括部分は入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射、処置などで70%を占めると言われている。後者は疾患群別に一定額の報酬額(点数)が決められており、一入院期間中も在院日数に応じて(入院期間I・入院期間II・特定入院期間の3段階)点数が下がる仕組みである。包括部分は、どんなに医薬品を使っても検査をしても一定額の支払いなので、病院が収益を得るためには、クリニカルパス(以下、パス)の作成あるいは見直しなど、入院日数や診療内容、医薬品・医療材料のコントロールを行う必要がある。地域連携も重要なファクターで、DPCの普及と共に地域連携パスが作られるようになった。ちなみに、看護師への評価はどうかというと、看護配置(7対1、10対1)によって包括部分の入院基本料で評価されている。

 また、DPCデータは、病院経営の側面だけでなく医療の質向上に役立てることができる。臨床指標を作り、他施設とベンチマーキングをすることによって、自病院の実力が分かり、診療の評価・改善に活かせるのだ。DPCに興味を持った方は、DPCマネジメント研究会ホームページをご覧いただくと良いだろう。

 さて、冒頭のDPCマネジメント研究会の話題に戻りたい。

 社会医療法人生長会府中病院(大阪府和泉市、III群)企画室に勤務している学友の講演は目からうろこだった。医業収益が年々落ち込んだことから、それまでトップダウンだった経営をボトムアップに切り替え、依存型組織から自立型の組織に変えることで現場力を強化したそうである。「病院の活力は職員の現場力にある」という言葉に感動した。この病院の組織文化を作るのは、「第1にヒト、第2にモノ、第3にカネ」だそうである。そうした組織風土の下で、職員主体の病院改革が進められた結果、医業収益が年々右肩上がりに伸びていた。

著者プロフィール

高崎由佳理(杏林大病院副看護部長、左)●たかさき ゆかり氏。1990年杏林大病院入職。産科病棟師長、外来師長などを経て、2014年から現職。12年国際医療福祉大大学院修了。助産師。根本康子(杏林大病院副看護部長、右)●ねもと やすこ氏。1987年杏林大病院入職。2004年手術部師長、14年から現職。13年国際医療福祉大大学院修了。

連載の紹介

新米副看護部長が行く!@杏林大病院
2014年4月に副看護部長に就任した二人の筆者が、看護部での奮闘の様子を交互に綴るエッセー。診療報酬制度など病院経営に直結する話題から、人材育成に関することまで、看護管理全般の話題に幅広く切り込みます。

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