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患者の「生きるチカラ」引き出す看護の仕掛け

2014/12/28
高崎由佳理

 病床機能分化や地域包括ケアシステム構築の実現に向け、多くの病院が退院支援の推進や強化に取り組んでいるだろう。当院も数年前に退院支援システムを構築し、評価、改善を繰り返しながら日々取り組んでいる。私は、入退院支援を担当する副看護部長として、退院調整部門と看護部退院支援委員会のサポートを行っている。

 退院支援は、患者さんを早期に自宅退院させることや治療継続を要する施設に転院させることではなく、医療や介護が必要な状態であっても患者さんが住み慣れた地域で生活していくための意思決定(自己決定)を支援することが本来の目的である。病棟等で退院支援に関わる看護師には、本来の退院支援の目的を理解し、患者・家族の支援をしてほしい。そのため、今年から退院支援委員会メンバー(以下、退院支援リンクナース)に退院支援や調整に関する知識や意識をより高めてもらうために、退院支援リンクナース研修を企画、実施している。

 また、訪問看護ステーションでの勉強会や訪問看護を依頼したステーションとのカンファレンスに参加させてもらう機会も得た。さらに、東京都看護協会等が主催する退院支援に関する研修や東京訪問看護ステーション協議会が主催した『訪問看護一日体験研修』への参加を促すなど、院外での研修にも積極的に参加してもらっている。

「入院患者さんは、全員自宅に帰れる」
 退院支援リンクナースには、院外研修で得た個人の学びを皆で共有し、リンクナース各々の知識にしてもらいたいと思い、研修参加者による報告会も行っている。訪問看護一日体験研修の参加者からは、ターミナル期や難病、精神疾患等を抱える利用者宅への訪問、医療処置や管理を要する利用者宅への訪問など、研修先での様々な訪問看護体験の報告があった。参加者から「訪問看護師は、利用者さんの生活の視点で看護を考えていた」「患者・家族の生活背景や環境に目を向けなければならないと思った」「利用者さんが笑顔で楽しそうだった」「看護師さんが訪問看護は楽しいと話していた」等々、たくさんの感想が語られた。

 その中で、参加者の一人が「自分の病棟に入院している患者さんは、全員自宅に帰れると思った」と語ってくれた。同じ病棟で勤務する看護師も「報告を聞いていて私もそう思った。同じ思いの看護師がいてよかった」と話していた。私自身、訪問看護を体験したわけではないが、参加者の訪問看護体験報告を聞き、訪問診療や訪問看護が適切に受けられるように支援することで、自宅で過ごすことができる患者さんが院内にたくさんいるのだろうと感じた。また、そう感じた理由には、訪問看護ステーションでの勉強会やカンファレンスに参加することで訪問診療や看護の現状を知る機会があったことにもあった。

 先日も、介護サービスセンターを運営する所長さんに声をかけて頂き、訪問看護の事例検討会に参加させて頂いた。検討会には、訪問看護ステーションや近隣病院、調剤薬局など、様々な機能を持つ施設の看護師やMSW、薬剤師、看護教員や看護学生が参加していた。

著者プロフィール

高崎由佳理(杏林大病院副看護部長、左)●たかさき ゆかり氏。1990年杏林大病院入職。産科病棟師長、外来師長などを経て、2014年から現職。12年国際医療福祉大大学院修了。助産師。根本康子(杏林大病院副看護部長、右)●ねもと やすこ氏。1987年杏林大病院入職。2004年手術部師長、14年から現職。13年国際医療福祉大大学院修了。

連載の紹介

新米副看護部長が行く!@杏林大病院
2014年4月に副看護部長に就任した二人の筆者が、看護部での奮闘の様子を交互に綴るエッセー。診療報酬制度など病院経営に直結する話題から、人材育成に関することまで、看護管理全般の話題に幅広く切り込みます。

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