日経メディカルAナーシングのロゴ画像

希望部署への配属で新人はハッピーになれる?

2014/07/17
高崎由佳理

 皆さんの病院に4月に入職した、新人看護師助産師の教育・育成の進捗状況はいかがだろうか?

 4月の副部長ラウンドでは、先輩看護師の後ろを緊張の面持ちで必死について歩いていく新人看護師が印象的だった。5月には患者の受持ちが始まり、患者さんに寄り添って歩く姿や電子カルテに看護記録を入力する姿、先輩看護師と薬剤のダブルチェックをする姿など、看護師として一歩ずつ成長している場面を見かけるようになった。新人看護師に声をかけると「少しずつ慣れてきました」「頑張ってます!」と、その一言にホッとした。

 一方で、入職3カ月目となる6月に入ると、新人看護師も心身共に疲れが溜まってくるせいもあってか、何となく元気がなかったり、体調不良を訴えてくる新人もいる。6月は当院では夜勤オリエンテーションをスタートさせる時期でもあり、病棟師長も看護部も新人一人一人の継続的なサポートに気を抜くことはできない。

入職3ヵ月以内の配置換えも
 当院では、入職後3ヵ月間は、新人看護職員を看護部に所属させている(実際の配属は病棟だが)。理由は、万が一、新人が配属部署での就業継続が困難となっても、当院で就業を続けていくことを可能にするためである。最終的に配属先が決まるまでの、いわば“猶予期間”との位置付けだ。

 採用履歴書には配属希望部署を第3希望まで記入してもらい、さらに、採用試験時には、絶対に配属してほしくない部署を3部署記入してもらっている。これにより、入職後の希望部署への配属率は、第1希望58.6%、第2希望24.8%、第3希望9.0%で、92.4%が本人の希望する部署に配属された(2013年度)。もちろん、絶対配属してほしくない部署へは、100%配属していない。

 しかし、希望部署に配属されたとしても実際に現場で働いてみると、本人が思っていたように働けるとは限らない場合もある。新人看護師が感じるリアリティショックには、医療・看護への期待感とのギャップ、基礎教育と臨床現場で求められる看護実践能力とのギャップ、社会人として仕事をすることのギャップなどあり、このようなリアリティショックが、希望部署に配属されても当該部署での勤務継続を困難にしている要因になっていることがある。

 当院の新人教育システム「アプリコットナースサポートシステム(Apricot Nurse Support System;ANSS)」(前々回記事参照)では、学ぶべき看護知識・技術項目や達成時期を新卒看護師教育スケジュールパスにより可視化し、全スタッフが共有できるようにしている。入職3ヵ月、6ヵ月、1年後に、新人看護師含め、部署教育担当者や師長など新人看護師を支えるメンバー全員で知識、技術の達成状況を評価し、進捗状況を把握している。また、評価結果を踏まえ、師長が新人看護師との個人面談も行っている。

 その中で、前述の通り配属部署での就業継続が困難ではないかと感じることがごくまれにある。時には面談内容から、他部署に配置換えをした方が、新人看護師にとってもメリットが大きく、就業継続が可能ではないかと思われる場合もある。その際には、病棟師長からの報告を受けて、看護部長、副看護部長も新人看護師と面談することにしている。看護知識・技術の習得状況や就業継続を困難にしている要因など様々な状況を鑑み、新人看護師にとって配置換えが有効であると最終判断した場合には、入職3カ月以内であれば、他部署への配置換えを行うことができるようにしている(もちろん、本人が希望する部署に配属されなかったからという理由だけでの配置換えは行っていない)。

著者プロフィール

高崎由佳理(杏林大病院副看護部長、左)●たかさき ゆかり氏。1990年杏林大病院入職。産科病棟師長、外来師長などを経て、2014年から現職。12年国際医療福祉大大学院修了。助産師。根本康子(杏林大病院副看護部長、右)●ねもと やすこ氏。1987年杏林大病院入職。2004年手術部師長、14年から現職。13年国際医療福祉大大学院修了。

連載の紹介

新米副看護部長が行く!@杏林大病院
2014年4月に副看護部長に就任した二人の筆者が、看護部での奮闘の様子を交互に綴るエッセー。診療報酬制度など病院経営に直結する話題から、人材育成に関することまで、看護管理全般の話題に幅広く切り込みます。

この記事を読んでいる人におすすめ