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「そちらの病院に就職するメリットは?」
就職説明会での看護学生からの鋭い質問にたじたじ

2014/06/16
高崎由佳理

 皆さんの病院も、5~6月は就職説明会活動に大忙しの時期ではないではないだろうか。当院でも毎週末、看護部長、副看護部長のだれかが就職説明会に出向いている。先日も青森、仙台、新潟に出かけ、さらには東京、そして当法人の看護学生を対象にした説明会も行った。

 新米副看護部長の私にとって就職説明会は、多くの看護学生さんと話ができることだけでなく、他病院の看護部長や副看護部長にお会いし各病院の情報を知る機会にもなっている。

 当然ながら、どこの病院も看護師確保に奮闘中である。病床機能分化と急性期病床の削減に向かい、今年の診療報酬改定では、7対1入院基本料の算定を死守するのか、はたまた10対1入院基本料へシフトするのか、病床機能をどのようにするのかという選択を迫られている。仮に10対1にシフトした場合、看護職員数にはゆとりが生まれるかもしれないが、その一方で、少子化に伴って看護師確保そのものが困難になっており、依然として各々の病院の採用は厳しい状況にある。
 
 就職説明会に来ていた病院は、施設をアピールするパンフレットだけでなく、動画を用いた病院説明や豪華景品までをも用意し、あの手この手の就職説明合戦となっているようにも感じた。

 来場してくれる看護学生さんは、2年生から次年度4月に就職を控えた4年生までさまざま。他施設に負けじと、当院の特徴や新人教育システムであるアプリコットナースサポートシステム(Apricot Nurse Support System)、通称「ANSS」について説明を行った(ちなみに当院では、新人看護師を杏林大学病院の「杏(あんず)」にちなんで、「アプリコットナース」と呼んでいる)。

プリセプター制廃止、新人は“全員で”育てる
 新人看護職員教育については、2009年7月の法改正により臨床研修等が努力義務化され、11年2月には、厚生労働省から新人看護職員研修のガイドラインが示された。当院はそれ以前に新人教育を見直し、07年にANSSを導入した。

 ANSSは、新人看護師が安全に看護を提供できることを目的にしており、知識・技術を確実に習得し、次のステップに進めるためのシステムである。その特徴は、新人看護師以外の看護職員全員が新人看護師の教育・指導に参画することを基本とする「バックアップシステム」と、新人看護師が、いつ、どのような看護技術をいつまでに習得するのか、学ぶべき標準を示した1年間の「新人看護師教育スケジュールパス」などのツールの活用である。

 それ以前は15年間ほどプリセプターシップ制を導入していた。だが、新人看護師によるインシデント・アクシデントが続いたり、プリセプティ(新人看護師)の看護技術習得が進まない場合にプリセプター(先輩看護師)の責任として評価されてしまうなどの問題が起きた。また、プリセプターが患者を受け持ちながら新人教育に携わることの負担感も強かったため、教育システムを抜本的に見直したのである。ANSS導入の結果、新人看護師の看護技術の習得状況や育成状況が可視化され、看護職員全員で新人看護師の到達目標を共有することができるようになった。さらに、新人看護師離職率も減少した。

著者プロフィール

高崎由佳理(杏林大病院副看護部長、左)●たかさき ゆかり氏。1990年杏林大病院入職。産科病棟師長、外来師長などを経て、2014年から現職。12年国際医療福祉大大学院修了。助産師。根本康子(杏林大病院副看護部長、右)●ねもと やすこ氏。1987年杏林大病院入職。2004年手術部師長、14年から現職。13年国際医療福祉大大学院修了。

連載の紹介

新米副看護部長が行く!@杏林大病院
2014年4月に副看護部長に就任した二人の筆者が、看護部での奮闘の様子を交互に綴るエッセー。診療報酬制度など病院経営に直結する話題から、人材育成に関することまで、看護管理全般の話題に幅広く切り込みます。

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