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短期連載◎経営ができる看護師になろう!【最終回】
対話ベースの経営手法「SECIモデル」を知ろう

2016/03/28
上村 隆幸(インキュベクス)

 さあ、本連載も今回が最終回です。訪問看護ステーションの看護師さんの「本当の働きやすさ」へとさらに迫りますが、実は看護師さん自身による「働きやすさ」へのアプローチが間違っていたりする。そこに気付いてしまった私から、より的確にアプローチできる手法をご紹介します。

 たとえあなたが今すぐ経営者にならなくても、この考え方を学べば、関係者との意思疎通を強化したり、チームリーダーとしてメンバーを率いたりする際に効果があるので、ぜひ、最後までお読みください。

 ご紹介するのは、一橋大学の2人の名誉教授、野中郁次郎氏と竹内弘高氏が提唱した、ナレッジマネジメントのフレームワーク「SECI(セキ)モデル」です。

 「ナレッジマネジメント」とは、個人の知識やノウハウ(=ナレッジ)を全体で共有して、組織全体のノウハウを向上させていく経営手法のこと。そして、「SECI(セキ)」とは、以下の4つの言葉の頭文字を並べたものです。

「Socialization」(共同化)
「Externalization」(表出化)
「Combination」(連結化)
「Internalization」(内面化)

 個々人はそれぞれさまざまな情報やノウハウを持っているのですが、それらすべてが組織内で共有されているわけではありません。まず組織の中には、その人だけしか知らない「暗黙知」があります。それを組織全体で共有することで「暗黙知」は「形式知」になり、組織内で議論したり改善したりできるようになります。そして組織として保有する高度な「集合知」となったノウハウをどれだけ保有してさらに高めていけるかという取り組みが「ナレッジマネジメント」です。

 そして「SECIモデル」は、個人・組織・集団の中でこの「暗黙知」と「形式知」を変換・移転しながら新しい知識を創造していくプロセスなのです。

 まず、個々人の体験などに基づく「暗黙知」をOJTなどによって相互理解していく「共同化(Socialization)」。次に、メンバー間で共有された「暗黙知」をより共有しやすいように言語や図表、数式などの「形式知」に置き換える「表出化(Externalization)」。そして「形式知」となった知識同士を材料にして組み合わせ新たな「形式知」を創造する「連結化(Combination)」。最後に利用可能となった「形式知」を再び個々人が身に付けるために、実践や体験を行う「内面化(Internalization)」という4つのプロセスが「SECIモデル」なのです(図1)。

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