日経メディカルAナーシングのロゴ画像

短期連載◎ナースのための「障害年金」の知識・第3回
がんでも障害年金の受給は可能!その条件とは?

 大きな病気にかかったり、重いけがをした患者さんにとっては、健康の回復はもちろんのことですが、手術や入院費用などの治療費をどう工面し、療養のため働けない期間の生活費をどう確保するかということが切実な問題となります。

 病気やけがの療養でかかるお金は、「治療費」と「生活費」という二つの観点から考えていくことが必要です。この場合、障害年金は、原則として初診日から1年6カ月を経過した障害認定日以後に受けられる年金ですので、後者の「生活費」を長期的に保障するための制度ということができます。

 障害年金を受けるまでの短期的な治療費や生活費には、医療者の皆様にも身近な健康保険を利用します。では、これら健康保険と障害年金が果たす役割について、ケースを交えてみていきましょう。

【ケース1】
脳出血で倒れた51歳男性

 メーカーの営業課長を務めるCさん(51歳男性)は、勤務中に突然倒れ、緊急搬送された病院で脳出血と診断されました。緊急手術で命をとりとめたCさんは、約6カ月間の入院を経て、現在もリハビリを続けていますが、右半身に麻痺が残っています。Cさんには、2人のお子さんがいるため、お金の余裕はありません。そこでCさんの奥さんは、Cさんが倒れてすぐに勤務先の会社に連絡を取り、今後の雇用と、治療費や生活費の補てんに利用できる制度について相談しました。

■解説
健康保険と障害年金

 Cさんの奥さんから相談を受けた会社では、社会保険労務士(以下、社労士)のアドバイスを受けて、次のように対応しました。

(1)治療
 高額療養費の限度額適用(医療費の自己負担額を一定の限度額までとすることができる健康保険の制度)を受けることにしました。

(2)短期的な生活費
 Cさんは、会社の休職制度を利用することで、退職することなく治療を続けることができましたが、休職中は給与がないため、健康保険の傷病手当金を請求しました。傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない時に、その人の平均的な給与の3分の2が支払われる制度で、最大1年6カ月間支払われます。

(3)長期的な生活費
 社労士に障害年金の請求を依頼しました。脳血管疾患による肢体障害の場合、初診日から6カ月を経過し、医師が症状固定と判断した日で障害認定を行いますので(障害認定日の特例)、主治医の意見により、初診日(緊急搬送された日)から10カ月後を症状固定として年金請求を行い、Cさんは、2級の障害厚生年金・基礎年金を受給することができました。

 このように会社員の場合は、障害年金を受給するまでの期間を傷病手当金でカバーすることができます。しかし、自営業者などの国民健康保険加入者には、傷病手当金制度がありませんので、障害年金を受給するまでは、貯蓄や家族の援助、保険会社による所得補償保険の利用などで、生活費をカバーしなければなりません。

 次は、あまり知られていない、がんによる障害年金の受給についてご紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ