日経メディカルAナーシングのロゴ画像

短期連載◎ナースのための「障害年金」の知識・第1回
病気やけがで働けず困っている患者さんはいませんか?

2014/07/15
小宮山 伸(社会保険労務士法人三島事務所)

 はじめまして。今日から4回にわたり、病気やけがで働けない患者さん、日常生活にハンディキャップを持つ患者さんの強い味方となる障害年金という制度についてご紹介します。

 私たち社会保険労務士は、社会保険(健康保険、労災保険、公的年金など)の相談、手続きの代行を行う国家資格者です。医療に従事する皆様が患者さんの病気やけがを治療するのに対して、私たちは各種社会保険制度を活用することで、病気やけがで働くことができない方などの生活を経済面からサポートしています。

 連載第1回の今回は、なぜ看護師さん向けのサイトで障害年金を取り上げるのか、まずはその理由からお話しします。

「障害者手帳がないと受けられない」は誤り
 国が運営する公的年金は、老齢年金、遺族年金、障害年金の三つに分けられます。このうち、老齢年金は「老後に受け取る年金」、遺族年金は「遺族が受け取る年金」ということはよく知られているのですが、障害年金については、そのような制度があることを知らないか、もしくは存在は知っていても、「障害者手帳がないと受けられない」といった誤解をしている人が多いのが現状です。

 障害者手帳を持つ人の多くが障害年金を受給しているのは確かですが、障害者手帳と障害年金は別の制度です。実際には、後述の認定基準に該当すれば、さまざまな疾病やけがで障害年金を受けることができます。

 ただし、障害年金は自分から請求しないと受けることができません。じっとしているだけでは、行政も含めてだれもこの年金のことを教えてくれないのです。このため、障害年金の存在自体を知らなかったり、上記のような誤解をしていて、本来受給できるはずの年金を請求していない方が非常に多くいます。

医療者が正しい情報の“窓口”に
 このように障害年金がよく知られていない現状では、患者さんが病気やけがになった時、障害年金に関する正しい情報にアクセスできるかどうかが、その後の年金受給に大きく影響します。

 年金相談の際、障害年金受給の可能性がありながら、請求はしていないという人にその理由を聞くと、「医師(看護師、ケースワーカーなどの場合も)から無理と言われた」という答えが返ってくることがあります。医療関係者の方々は年金の専門家ではないのですが、患者さんはそれを「先生が/看護師さんが言うのだから」と、そのまま受け入れてしまうのです。

 障害年金を受給できれば、患者さんの暮らしは大きく好転します。ですから私たちは、患者さんにとって身近な存在である看護師さんに、ぜひ障害年金に対する正しい情報を持って頂きたいと考えています。もちろん細かいことまで覚える必要はありません。さまざまな疾病やけがを対象とする障害年金という制度があり、社会保険労務士が相談を受け付けていることを患者さんに伝えて頂ければ、それで十分です。

 現在、私たちは、病院、訪問看護事業所、薬局などとの連携を通じて障害年金の受給促進に取り組んでいます。そこではオリジナルのパンフレットを配布し、患者さんに障害年金の周知を行っています(この取り組みについては、最終回でご紹介します)。

この記事を読んでいる人におすすめ